• "臨任講師"(/)
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  1. 富山県議会 2019-02-01
    平成31年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開会 五十嵐委員長 おはようございます。  ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        奥野詠子委員の質疑及び答弁 2 五十嵐委員長 奥野委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 奥野委員 おはようございます。  今期最後の質問となりますので、これまで取り上げてきた問題にしっかりと道筋をつけて締めくくりたいと思っております。  初めに、苦手の多い子供たちや障害のある方への支援について伺います。  本県でも、全国的な傾向と同様、小中学校における特別支援学級及び通級の設置数は年々増加しており、その需要の高さが伺えます。  本県の小中学校における特別な支援を必要とする児童生徒の数は、5年前、平成26年には3,244人、割合にして3.75%だったものが、平成30年には4,360人と、全体の5.49%にまで増加をしています。  私も初当選直後から議会質問でこの問題を取り上げておりますけれども、当時は世間的な認知もまだまだ低かったように感じておりましたが、この8年で学校現場でのニーズも高まり、広く関心を持っていただけるようになったと感じています。  本県でも特別な支援を必要とする子供たちが増加をしておりますが、本県の状況をどのように分析しているのか、教育長に伺います。 4 渋谷教育長 昨年5月1日の時点で特別支援学校に在籍している児童生徒数は1,268名で、5年前の1,224名と比べますと44名、3.6%増加しております。  また、小中学校特別支援学級に在籍している児童生徒数は1,583名で、5年前の1,168名と比べますと415名、35.5%増加しております。  小中学校で通級による指導を受けている児童生徒数は2,075名で、5年前の1,117名と比べますと958名、85.7%増加しております。  このうち、本県の増加率と比較可能な全国の特別支援学校に在籍している児童生徒数と、小中学校特別支援学級に在籍している児童生徒数の増加率は、それぞれ8.7%と46.1%で、いずれも本県の増加率を上回っておりますが、増加傾向にあることにつきましては本県も全国と同様の傾向にあると考えております。 5 奥野委員 昨年6月の定例会の予算特別委員会でも議論をさせていただきました。子供たちの多様なニーズを把握するためのチェックリスト、先生が気づいて動けるチェックリストの作成が大詰めを迎えていると伺っております。
     私も現段階でのチェックリストの案を拝見いたしました。就学前編、就学時健診時編、小学校編、中学校・高等学校編と、年齢や発達段階によって分かれておりまして、作成に携わる方々から多くの意見が出され、議論も白熱したと伺っているところでございます。  このチェックリストについて、いつから、どのような形で活用する予定なのか、伺います。 6 渋谷教育長 御質問のチェックリストにつきましては、今月末までに作成いたしまして、4月に県内全ての保育所、幼稚園、幼保連携型認定こども園、小中高校と特別支援学校に配付することとしております。  このチェックリストは、就学時健診編、年長児編、小学校編、中学校・高等学校編の4区分で作成しておりまして、それぞれの発達段階に応じて活用していただけるようにしております。  このため、各学校などにおきましては、例えば就学時健診時に子供たちの行動を観察する視点として活用いただいたり、学校生活の中で教師が気になる子供の様子や教育的ニーズを把握するときに活用いただき、適切な支援につなげていただきたいと考えております。 7 奥野委員 先ほど申し上げましたとおり、私も現段階のチェックリストの内容というものを拝見いたしました。  今ほど、教育長の答弁の中でも、このチェックリスト自体は、児童生徒の行動等で気になることがあったり、何か必要なものがあるのではないかというときに活用するという趣旨だと認識をしております。  そうなりますと、やっぱりこれを活用する教員の力量というのが問われてくると思います。  昨年6月の定例会でも、このチェックリストを活用する教員の主観をどこまで排除できるか、客観性をどうやって担保するかというようなことを議論させていただきました。  ただ、今のチェックリストを見ても、やっぱり教員の主観が全く絡まない形にするというのはなかなか難しいというのが実情だと思います。  チェックリストの活用に当たっては、活用する教員の十分な事前研修が不可欠だと思います。  昨年6月も随分と議論をさせていただきましたが、やっぱりまずどういう子に使うかというところから、ちょっと発達障害があるのではないかなど、レッテル張りにつながらないようにするにはどうしたらいいかと、こういうところが重要だと思いますので、そういう事前研修、事前の十分な知識習得にどのように取り組むのかについて伺います。 8 渋谷教育長 チェックリストは発達障害の有無を判断するものではなく、早期に子供たちの困難に気づき、教育的ニーズを把握するためのものであります。  このため、チェックリストの活用に当たりましては、教員を初めとする関係者全員に目的や活用に当たっての留意点などを十分周知いたしまして、適切な取り扱いがなされるよう努めることとしております。  具体的には、まず、4月当初に幼稚園や小中高校などの管理職が集まる会議におきまして周知することとしております。また、チェックリストの活用に当たりましては、各学校の特別支援教育コーディネーターの役割が大きいことから、小中学校特別支援教育コーディネーター会議で説明することとしております。  さらに、各学校からの要請に応じて、小中高校の巡回指導員特別支援学校特別支援教育コーディネーターが学校を訪問いたしまして助言することとしております。 9 奥野委員 私も、このチェックリストが多様なニーズの把握に有効な道具になるということは賛同をしたいと思っています。  ただ、このチェックリストをうまく使ってニーズを把握したとして、やっぱりそれに対応するのは教員一人一人でありまして、やはり教員側のスキルアップというのが欠かせないと思っています。  今ほどの答弁では、いろんな代表者やコーディネーターという方々にまずは周知をして、そこから細かく枝葉のような形で広げてもらうというような考え方だと思いますが、やっぱり各学校の担任や子供たちに一番近い場所にいる方たちにしっかりと事前研修を行っていただきたいなという思いがあります。  近年は、やっぱり子供たちのニーズも多岐にわたっておりますし、そのニーズを一つ一つしっかりと捉えて対応するということの重要性は増していると思っています。  私はこれまで、多様なニーズに対応するための近道として、特別支援学校教諭免許状の取得をもって、特別支援教育のプロを育成していくことを推奨してきました。  苦手が多い子供たちや障害のある子供たち、また、それ以外の全ての子供たちにとって、いろんなニーズ、子供たちのニーズに気づく力やそれに対してどのように対処すべきかを導き出す力というのは、こういう特殊分野を勉強していくことで飛躍的に向上するだろうと改めて感じているところでございます。  本県教員の特別支援学校教諭免許状の取得状況について、今いろんな取得しやすい環境も整えていただいておりますので、新規取得者、また、保有者の推移といったものを伺いたいと思います。 10 渋谷教育長 本県教員の特別支援学校教諭免許状の取得者数につきましては、平成27年度の22人から毎年増加しておりまして、平成29年度は45人で、今年度も2月末現在で53人となっております。  また、保有者数につきましては、小中学校では平成27年度の366人から毎年増加しておりまして、平成29年度は382人で、今年度も12月末現在におきまして432人となっております。  高等学校につきましては、平成29年度から人数を把握しておりますが、平成29年度は77人で、今年度は12月末現在で76人となっております。  また、特別支援学校では、平成27年度の539人から毎年減少しておりまして、平成29年度は518人で、今年度は5月の時点で507人となっております。 11 奥野委員 毎年、多くの先生方に免許状を取得していただいているのだと思いますが、一方で、退職される方もいらっしゃるわけでありまして、やっぱり全体の取得者数や割合を増やしていくためには、やめられる方よりも取得される方が多くないと充足されていきませんので、こういう部分についてもぜひ推奨していっていただきたいと思います。また、毎年たくさんの方が受講して免許状を取得していただいているということは、それだけ、やっぱり現場の先生方が必要としていると思いますので、引き続き取り組みをしていただきたいと思っています。  これまで触れてきましたように、小中学校における特別支援学級や通級を必要とする子供たちが増加している現状を踏まえますと、特別支援学校教諭免許状の保有者をやっぱり特別支援学校だけではなくて、地域の小中学校にどんどん配置していく必要があるのではないか、そういうニーズが高まっているのではないかと思っています。  本県でも、特別支援学校教諭免許状保有者を、特別支援学校だけではなく小中学校にも配置されていると思いますけれども、免許状保有者の養成とあわせて、今後、小中学校への配置を拡大していくべきと考えておりますが、どのように進めていくのか、教育長に伺います。 12 渋谷教育長 先ほどお答えしましたように、小中学校特別支援学級に在籍する児童生徒数と通級による指導を受けている児童生徒数が大きく増加しておりますので、教員全体の特別支援教育に関する専門性を高めることがこれまで以上に求められております。  このため、本県では、教員採用選考検査におきまして、特別支援学校教諭免許状を保有する受検者に対する加点制度や採用後5年以内に特別支援学校教諭免許状を取得する予定の受検者を対象とした受検種目を設けまして、特別支援学校教諭免許状保有者の確保に取り組んでおります。  また、平成28年度から、1年間で特別支援学校教諭免許状が取得できる集中講義を開設しておりまして、県内の小中学校に勤務する教員の受講者数は年々増加しております。  さらに、放送大学や国立特別支援総合研究所が実施しております通信教育を利用した単位取得を奨励しておりまして、特別支援学校教諭免許状を保有する教員の養成に努めております。  特別支援学校教諭免許状を保有する小中学校の教員は、特別支援学校の担任や通級指導の担当、特別支援コーディネーター、支援を必要とする子供が在籍する普通教室の学級担任に配置しておりまして、特別な支援を必要とする子供たちへの支援にかかわっていただくこととしております。 13 奥野委員 いろいろな取り組みを進めていただいておりますし、その必要性については十分認識をいただいていると思います。それこそ、教員採用試験における加点制度については、当時、いろいろと議論をして、導入していただきました。  ただ、この加点制度は、一次選考に5点プラスという制度と認識しております。  今、時代とともに必要性が当時より増していることを考えると、5点といわず、もうちょっとプラスがあってもいいのではないかなと思っておりますので、改めて御検討いただければと思っております。  さて、これら特別な支援を必要とする子供たちというのは、小中学校のみならず、高等学校にも在籍をしているということはこれまでも強調してきたところであります。  今年度は、国の制度変更も踏まえまして、本県でも一部の高等学校に通級を設置していただきました。  これは、通級指導の内容を単位科目として受講できる形に整備したものでありますが、単位の受講状況と生徒が受講した理由を踏まえて、この取り組みの評価を知事にお伺いしたいと思います。 14 石井知事 本県では、全国と同様に、中学校で通級指導教室に通った生徒さんや、また自閉症や情緒障害などによりまして特別支援学級に在籍していた生徒さんが高校に進学しております。  このため、今年度から新たに定時制高校で通級による指導を行っておりますけれども、実施に当たりましては指導教員の増員が必要でありますので、昨年1月に加配定数の改善を文部科学大臣に直接お目にかかって要請しまして、要望どおり2名の定員増もいただきました。  現在、定時制高校4校で計16名の生徒が通級指導を受けていますけれども、いずれの生徒も、学校が日ごろの様子を見て、他人とのコミュニケーションが苦手と思われる生徒さんとその保護者に受講を進めまして、同意を得た子供たちでございます。  この生徒たちは現在、週2時間、自立活動の指導を受けて、欠席する生徒はいないと聞いております。また、生徒からは、他の生徒や先生とのコミュニケーションがとれるようになった。また、丁寧な指導を受けて、障害による学習上または生活上の困難の改善に意欲的に取り組めるようになった。また、自信を持って学校生活を送れるようになったなどの声が寄せられているということであります。  通級指導を開始した初めての年度ですから、引き続き検証が必要ですけれども、まずは開設してよかったのではないかと思っております。  教育委員会には、今後とも保護者の方々と連携しながら、特別な支援を必要とする高校生が充実した学生生活を送って社会的に自立できるように、しっかり支援してもらいたいと思っております。 15 奥野委員 今ほどの御答弁の中に、子供たちの自信につながっているという内容がございました。これは、非常にいい取り組みだったと思っています。  ただ、1つ懸念をしておりますのが、今回は4校、単位制を導入している高校での通級内容の指導ということでありました。私も小学校、中学校で特別支援学級や通級の指導を受けていた子供たちの進学先、進路状況を調べてみましたところ、特別支援学級や通級による指導を受けていた子供たちのおよそ2割は、今回通級を導入した県立の定時制高校に進学をしていますので、こういう子供たちにとっては単位制の学校で通級指導の内容を受けられるという選択肢が広がったことは非常によかったと思います。  希望すれば、高校でも支援が受けられる状況が整ったことになりますが、特別な支援を受けていた子供たちの1割強は、県立の全日制高校に進学をしております。  この1割強の子供たち、県立の全日制高校に行った子供たちは、こういう支援を受けることが今の段階ではできない状況と思っています。  これには、非常に配慮する点が多くあり、まずはこういう配慮や環境が整いやすい単位制のところでということで、初年度の導入になったと思っておりますが、私は、行く行くは全日制でも支援方法を模索していかなくてはならないと考えています。  今後の高等学校における通級設置の見通しについて教育長に伺います。 16 渋谷教育長 今ほど、知事から答えられましたように、本県では今年度から高等学校における通級指導を行っておりますが、この制度を導入するに当たりましては、生徒の自尊感情や心理的な抵抗感にも配慮することとされておりますので、本県では、まずは生徒が自分の興味、関心などに応じて科目を選択できる単位制を導入している定時制高校に導入しております。  教育委員会では、今年度、実施校を訪問いたしまして、各学校の通級指導の現状を把握するとともに、通級実施校の担当教頭と指導教員による研究協議会を実施しながらその効果を検証しておりますが、引き続き検証を行い、学校として対応できる自立活動の幅を広げ、また、指導教員スキルアップに結びつけていきたいと考えております。  全日制高校への導入につきましては、定時制高校における取り組みの検証結果を踏まえ、生徒の自尊感情や心理的な抵抗感に配慮しながら検討を進めていくこととしております。  また、委員から、昨年度の6月議会で御提言いただきました高校での通級指導における富山大学との連携につきましては、大学の支援室を訪問し、支援の現状をお聞きした上で連携の課題などについて担当官と意見交換を行っておりまして、今後とも教育委員会で研究を進め、大学と協議してまいります。 17 奥野委員 今ほどの答弁の中でも御紹介いただきました富山大学の支援室、昨年6月も大変議論いたしましたが、やはり富山大学に進学をしている子供たちにも支援が必要な子供たちがいるということは、県立高校全日制にも恐らく必要とする子供たちが一定数いるのだろうと想定されますので、引き続きいい形で導入ができるように御検討いただきたいと思っております。  次に、高等特別支援学校についてお伺いをいたします。  高等特別支援学校軽度知的障害児を対象としておりまして、一般就労を目指した就業スキルの獲得を目的としている学校でございます。  これまでに、物づくりや清掃等の技術習得が就職に結びついているということを伺っております。  ただ、その障害特性と相性がよいと言われているような農業分野においては、作業体験という意味合いが強いということでありまして、私は体験にとどまらず、農業分野においても農業への就業につながるようなカリキュラムを充実してはどうかと考えております。教育長の所見を伺います。 18 渋谷教育長 高等特別支援学校カリキュラムにつきましては、その開設に当たり、どのような企業への就職を目指すのか、また、そのためにはどのような知識、技能が必要になるのかについて、知的障害者の方々を雇用する企業への聞き取りなども踏まえながら検討しております。  その結果、富山と高岡のいずれの高等特別支援学校におきましても、ものづくり、流通、環境、福祉の4分野を作業学習の柱として位置づけ、地域や企業の方々と連携しながら、生徒の働く力を高めていくカリキュラムとしております。  御質問の農業分野の就労につながるカリキュラムとしましては、ものづくりの一環としてブルーベリーやトマトの栽培を行っておりますし、また、乾燥果物や味噌づくりなどの食品加工も行っております。  こうした中、平成27年度に初めて卒業生を送り出して以来、今年度まで農業分野の方々から問い合わせは3件ありましたが、求人には結びついていない状況にあります。  就職について、生徒に幅広い選択肢を用意することは大切なことでありますので、農業関係の企業の方々の御意見も伺いまして、御提案のカリキュラムの充実について研究してまいります。 19 奥野委員 ぜひお願いをしたいと思っております。県内でも、いろんな分野で人手不足というのが叫ばれておりますので、子供たちの特性にマッチしたようなものが見つかれば、どんどんそういうところに就職先を開拓していただきたいと思っております。  さて、高等特別支援学校は、これまで就職を希望する生徒においてはほぼ一般就労の機会を確保できているということでありまして、順調に取り組みを進めていただいていると思っています。  一方で、高等特別支援学校は、先ほども触れましたように軽度知的障害が対象ということでありますので、知的障害がなければ入学対象とはならないわけであります。  知的障害を伴わない自閉症スペクトラムの子供やその保護者からも実際、入学の希望や問い合わせがあるという実情を伺っております。  そもそも、知的障害を伴わない自閉症スペクトラム等は、法律上は精神障害に分類されるということでありますが、学校教育法上は精神障害を特別支援学校の対象にしていないというそもそもの部分で法律的な不備があるなと感じてはおります。ただ、その法律の不備を指摘しても、制度のすき間にいる子供たちというのは救われませんので、本県でも独自に何か柔軟な対応をして、制度のすき間にいる子供たちにも希望する支援を届けられるようにすることが大事なのでないかなと思っております。  このように、知的障害がなくても、例えば高等特別支援学校に入りたいというような希望があった場合、学校教育法上精神障害は対象となっていませんが、何らかの支援が必要と思われる子供たちに対して、現在どのように対応しているのか伺いたいと思います。 20 渋谷教育長 委員からお話しいただきましたが、学校教育法の規定によりまして、高等特別支援学校を初めとする特別支援学校は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱の5つの障害種別を有する児童生徒の支援を行うこととされており、情緒障害だけを有する生徒は入学できないこととされております。  なお、本県の高等特別支援学校では、軽度知的障害を有する生徒の支援を行っておりますが、情緒障害をあわせ有する生徒につきましては、主たる知的障害に対応した指導を行うことを目的として、情緒障害に対する配慮をしながら支援を行っております。  御質問の情緒障害を有する生徒の支援につきましては、今年度から県立高校で通級による指導を進めておりますので、引き続きこうした取り組みの中で支援に努めてまいります。 21 奥野委員 確かに、高等学校への通級導入というものも今年度から始まっておりますし、これは確かに法律の壁がありますので、教育委員会でも大変頭を悩ませながら検討いただいていると思いますけれども、やっぱり困っている子供たちがいて、支援が必要であれば、そこにどうにかして支援を届けるということが一義的に私は大事なんだろうと思っています。  法律上は、確かに対象じゃないという、この何ともしがたい大前提の大きな壁があるわけですが、だからといって必要としている子供たちに支援を届けないのが本当に果たして正しいのかというと、決してそうではないと思っておりますので、法改正への働きかけもお願いしたいわけですが、国の判断を待つまでもなく、どうか本県での取り組みに柔軟性を持たせていただきたいと思っております。  次に、学校を卒業後、社会に出て自立を目指す上で必要な所得に関して伺いたいと思います。  本県では、国の工賃向上計画に基づきまして、平成19年度から工賃の倍増を目指して工賃向上計画第1期計画をスタートさせております。  第1期計画から12年が経過をしておりまして、現在第4期計画に入っているところであります。  計画がスタートしてから工賃は徐々に上向いてきてはおりますが、当初掲げていた倍額にはほど遠い現状でありまして、倍額に近づけるというよりは、目標の金額をちょっと変えてきているところがあるかと思っております。  そもそも、当初の工賃倍増の根拠が、障害年金と合わせてぎりぎり自立できるかどうかというラインをもって定めた目標であったと認識をしています。障害のある方々が、地域で自立をしていくためには、工賃の向上に一層取り組む必要があると思っております。  工賃が伸び悩む要因についてどのように認識をしているのか、また、その課題解決にどのように取り組むのか、厚生部長に伺います。 22 前田厚生部長 工賃水準が向上するために、県の支援も計画的に行っていくことが必要であると考えており、これまでも国の指針──工賃向上計画を推進するための基本的な指針に基づき、工賃向上に資する具体的な方策等を定めた富山県工賃向上支援計画を3次にわたり策定して、主力事業の生産力や販売力のアップ、新商品の開発などの支援に取り組み、工賃水準の向上に努めてきたところでございます。  これらの計画に基づく支援の結果、平均工賃額は平成19年度末は月額1万2,406円でしたが、平成29年度末は1万5,646円と、3,240円、約26%増えておりまして、就労継続支援B型事業所の平均工賃の実績額は着実に向上しているところでございます。  また、工賃水準を一層高めるため、本年度から2020年度までを計画期間とする第4期工賃向上支援計画の策定に当たり、これまでの取り組みの成果や事業者への実態調査等、依然として企業との取引実績が少ないことや販路拡大での効果的な活動が行えていないなどの課題やニーズを整理いたしまして、工賃向上に対する意識、意欲の向上、事業所の体制整備、地域、企業等の連携強化、多様な就労の場の確保という4つを取り組みの柱と、2020年度には伸び率8.7%ぐらいになる各年度の目標工賃額の設定をさせていただき、あわせて、さまざまな好事例も紹介の上、事業所への経営コンサルタントや新商品の開発アドバイザーの派遣など、工賃向上に向けた実践的な支援を行っているところでございます。  県としては、今後とも新たな支援計画に基づきまして、市町村や事業者、関係機関と連携しながら、さらなる向上に取り組んでまいります。 23 奥野委員 今ほど御紹介いただきました。確かに伸びてはきているんです。  ただ、平成19年度の1万2,406円、これを、たしか2万4,000円まで引き上げようと、倍額にしようというのが当初の計画でありまして、第2期、第3期と計画が進むにしたがって、目標額が低くなってきている現実があると思っています。  第4期計画、冊子の内容を拝見しますと、やはり、中には障害年金と合わせて幾らあったら自立できるかというような当事者の方たちに対する調査の結果も載っておりまして、皆さんは、やっぱり3万円は欲しいという結果が冊子にも書かれているわけであります。確かに、現実路線で達成していくことも非常に大切でありますが、第4期計画の中にそのような調査結果、3万円を何とか、というような話が載っているわけですから、どうか、高い水準を目指して取り組みを進めていただきたいと思っています。  この工賃向上施策の一端として、障害者優先調達推進法に基づきまして、本県でも平成25年度から障害者就労施設等からの優先調達を行っております。  この優先調達の件数や実績金額というのは、毎年厚労省から公表されております。  本県の実績金額は、平成28年度で756万9,000円と全国46位、平成29年度は835万円で全国最下位となっています。  この施策は、先ほども触れましたように、法律に基づいて推進しているものでありまして、全国のデータを見てみますと、例えば北陸では福井県では3,195万5,000円、そのほか島根県では3,198万9,000円、徳島県では4,972万4,000円、佐賀県は4,408万7,000円、中でも目を引くのが宮崎県で何と1億556万7,000円というデータが公表されております。このように見ていきますと、人口規模や予算規模にかかわらず、全庁的に意識を高く持ってやっている自治体は推進されている結果が出ているというデータが公表されています。  ちなみに、もう一回触れますと、富山県は835万円ということであります。  本県の実態を踏まえまして、もっと本県でも積極的に発注を増やすことが全体の工賃向上につながっていくのではないかと考えますが、知事の所見を伺います。 24 石井知事 県では、これまでも御承知のように富山県障害者優先調達推進委員会を設置し、障害者就労施設等からの物品等の調達方針を策定しますほか、各種の印刷物の発注、啓発物品の購入、また、専用ウエブサイトによる物品等の紹介、共同受注窓口の設置等に取り組みまして、調達件数は平成25年度の211件から平成29年度には937件と、約4.5倍に増加しておりまして、調達額は438万円から835万円と、約2倍にとどまっております。  ただ、おっしゃるように、全国と比較すると少し物足りないわけでありまして、何とか努力をしなきゃいかんと思っております。  今年度は、調達目標額を950万円として、特に県主催のイベントにおける物品の積極的な活用に重点を置きまして、ねんりんピックや富山マラソンの参加者等への記念品に障害者施設で作成したエコバッグや洋菓子等を採用した結果、上半期の実績は昨年同期に比べまして約140万円増加いたしております。
     県としては引き続き、富山マラソン、ことしは全国知事会等もございます、県主催イベントにおける記念品等での活用を初めとしまして、物品の購入や印刷物の作成の際には優先調達を全庁的に進めますとともに、調達額のさらなる増加に当たりましては、事業者の方自身の高い経営意識に基づく付加価値の高い商品の開発や、清掃等の役務の受注も必要でありますので、事業者の取り組みを支援します研修等、商品のブラッシュアップ等に必要な備品購入への補助といったことを新年度予算に計上しております。  おっしゃるように、全国最下位というのは残念だなと思っておりまして、障害者施設からの優先調達のさらなる推進に引き続き取り組んでまいります。 25 奥野委員 ぜひお願いしたいと思っております。  今ほど、知事から御答弁ありましたとおり、今年度は昨年同期と比べると確かに伸びてはいるんです。  ただ、これは知事も御紹介になりましたねんりんピックの関係での発注が非常に影響しておりますので、ねんりんピック級のイベントが毎年開催されるのかというと、決してそんなことはないわけであります。毎年同じ時期にどういうものが必要なのかという、定期的な見通しで発注できるようなものを増やしていけば、安定的な施設側への発注につながるのではないかと思っております。  また、全国の様子を見ますと役務が金額の7割以上を占めているという状況があります。ただ、富山県の状況を見ますと、やっぱり役務と物品購入の割合は全国の割合とはちょっと違っているところもあります。  やっぱり単価の高いものをできるだけ発注することがいいのではないかと思っていますが、県庁内では例えば10万円以下の物品購入は各課が直接発注をしていて、いろんなところとやりとりをしています。10万円を超え160万円未満の物品購入であれば、総務会計課で随時入札がされているということであります。  全庁的に意識を高めていく、各課が直接発注するときに福祉施設に本当に発注をするのかという話もあります。10万円を超えて、総務会計課で随時入札となると、価格競争で、しかも、納期によっては福祉施設で受注するのはかなり難しいのでないかなと思っています。物品購入の仕組みのようなものも、例えば総務会計課で随時入札するものであっても、納期にちょっと余裕があるものなどはピックアップをして、優先調達に回すというような取り組みや各課の意識改革が本当に必要だと思います。  それは、障害福祉課だけでやってもなかなか広がらないのではないかという懸念もありますので、ぜひ知事の旗振りのもと、全国最下位からは早く脱出して、障害のある方にとっても働く環境が整っている富山県を目指していただきたいと思います。  次に、性暴力被害ワンストップ支援センターとやまについて伺います。  昨年3月1日に開設した性暴力被害ワンストップ支援センターとやまは、今月1日で丸1年を迎えたわけであります。  この問題は非常にデリケートでありますので、警察への通報はもとより、家族や周りにも相談しづらく、その被害件数自体が暗数化してしまうという特徴がありました。窓口を一本化して専門職員が対応することで、何とか受け皿にできないかと設置したものであります。  この1年の実績と評価について、知事に伺います。 26 石井知事 昨年3月1日に開設しました性暴力被害ワンストップ支援センターとやまは、女性に関する相談に実績のあるNPO法人に委託しまして、専門的な知識と経験を有する助産師を責任者として配置し、この助産師の方含め常勤2名、非常勤支援員6名で、全国47センターのうちで、こうした対応は15センターだけと伺っていますけれども、24時間365日、電話相談に対応しております。また、医療費等の公費負担を行うなど、質の高いサービスを提供するセンターとして運用いたしております。  この1年間の実績としては、幅広い年代の男女の方から568件の電話相談と、48件の面接を受けたほか、医療機関や警察署への同行支援も19件行いました。  さらには、個別の相談内容については相談者の方のプライバシーの保護の観点もありますから控えさせていただきますけれども、医療機関における性感染症検査や緊急避妊、また、カウンセリングに要する医療費等の公費負担も行いますなど、相談者の状況に即した支援を行っております。  このほか、センターへの相談をきっかけとして、警察に被害の届出を行ったケースや、職場におけるセクハラ被害について、労働局の紛争調整委員会によるあっせんに至ったケースもございます。  この1年間の評価については、性犯罪、性暴力の被害は、未成年者が約半数を占めているということでありまして、誰にも打ち明けることができずに潜在化するケースが多いとされていますけれども、まずは勇気を出して多くの被害者等から御相談をいただけたということは、被害者等支援の大きな一歩になったと思っております。  このことについては、委員に大変御尽力や御助言いただいたわけで、ありがたかったと思っております。  また、医療機関や警察、市町村等と連携して、相談者のニーズに即した支援につながったケースもございますので、被害者の心身の負担軽減と潜在化防止の一定の成果があったと思っております。  今後も、センターをもっと多くの方に知っていただくための広報啓発や、支援員のスキルアップ、また、県の医師会や弁護士会、警察など関係機関との連携強化を図りながら、相談者お一人お一人の立場に寄り添ってしっかりと支援してまいります。 27 奥野委員 私はこの数字を伺いまして、当初予想していた件数をはるかに上回っているのではないかと思っております。  これまでには、性犯罪被害については手元に正確なデータがないと──本県においては警察への相談や通報の件数が大体3件や5件、多くても8件とか、そういうデータしかないということでありましたので、受け皿として非常に機能し始めたのでないかなと思っております。  広報や啓発の部分につきましては、後ほど触れたいと思います。  今、知事からも答弁のあった、同行支援を行ったもの、医療機関との連携をしたものや、いわゆる緊急対応のものもあったと伺っておりますし、その中には、病院からセンターに連絡が来たというものもあったと聞いております。  被害者に対して二次被害が起こらないように対応するということも重要な視点だということで議論をしてまいりました。  関係機関は被害者の年齢や状況によっては幾つもの機関がかかわることになるわけでありまして、それらが、それぞれ被害者に話を聞くようなことにならないように、そういう意味で二次被害を防げるものは必ず防いでほしいと訴えてまいりました。  センターと警察や関係機関がどのように連携をとって、どのように対応したのか確認をしたいと思います。 28 石黒危機管理監 性暴力被害ワンストップ支援センターとやまの運営につきましては、関係機関の緊密な連携が鍵になりますことから、センターの開設に際して、県と県警察、県医師会、県弁護士会の間で「性暴力被害者の支援に関する連携・協力に関する協定」を締結したところでございます。また、各種の会議あるいは研修会等への参加をいたしまして、日ごろから関係機関等とのいわゆる顔が見える関係を構築して連携の強化に努めておるところでございます。  今お尋ねのありました緊急対応が必要なケース等につきましては、いろんなケースがあるわけですけれども、緊急対応としては医療機関から連絡を受けて、速やかに医療機関のほうに出向き、被害者の意向を丁寧にお聞きして支援内容を説明し、性感染症の検査や緊急避妊薬の内服につながったということでございます。  このほかにも、先ほど知事から答弁がありました警察署に同行して被害について説明したケース、あるいは法的支援のため弁護士相談を紹介したケースなどもありますが、支援に際してやはり被害者の方に寄り添って相談を行い、丁寧に支援内容を説明し、そして、意向を確認した上で関係機関等への連絡を行っておりまして、関係機関に連絡を行った場合には、速やかに連携をとることとしております。  今後とも、緊急性の高い相談等にも適切に対応できますよう、関係機関との協力関係を維持発展させまして、被害者の方の御事情を踏まえた丁寧な支援が提供できるように努めてまいります。 29 奥野委員 速やかにというお言葉がありました。本当に早期に、そして、なるべく被害者に負担がないように1回で終わらせると、こういうところがポイントなのだと思います。ぜひ強化していただきたいと思いますし、体制については、今後ともよりよいものを目指していただきたいと思っております。  次に、この1年間で寄せられた相談内容のうち、2割近くが性的虐待となっています。  緊急対応のものがなかったということなのか、専門の訓練を受けた面接官が行う司法面接の実績はないと伺っておりますが、子供たちに対しては、二次被害を防いで正確な情報を1回で引き出すことを目的に司法面接の必要性が指摘をされております。  子供たちへの被害、特に虐待案件の際には、積極的に司法面接を実施すべきと考えておりますが、司法面接の必要性についてどう認識しているのか、警察本部長に伺います。 30 山田警察本部長 性犯罪の被害者は、犯罪による直接的な被害のみならず、捜査の過程において、さらに精神的苦痛など二次的被害を受けるおそれがございます。  特に、児童からの事情聴取につきましては、警察、検察庁、児童相談所が別個に行った場合には、児童の心身の負担が過重となり、また、誘導や暗示を受けやすい児童の特性により、供述の信用性に疑義が生じるとの指摘もあるところでございます。  こうしたことから、県警察では、日ごろから検察庁及び児童相談所と連携して情報共有を図り、児童からの聴取につきましては、3機関が連携してその代表者による聴取を行う「代表者による聴取」、議員のおっしゃる司法面接に当たるものかと思いますが、こういった「代表者による聴取」などを実施しているところでございます。  性暴力被害ワンストップ支援センターとやまから通報された案件につきましても、児童からの聴取が必要であると認められる場合には、児童の特性を踏まえた聴取方法等について関係機関と協議をし、「代表者による聴取」を積極的に活用していきたいと考えております。 31 奥野委員 ぜひお願いしたいと思います。  今回のこのセンター開設に当たりまして、緊急時に積極的に協力いただける医師と連携協定を結んできたと聞いております。  1年目は、富山市内3人の医師ということでありますが、事件がどこで起きるかわかりませんし、被害者の年齢、また、状況によっては富山市までの移動が困難なケースもあると想定されます。  協力医は県下バランスよく配置されている状況が望ましいと考えますが、今後、協力医の拡大についてどう取り組むのか、伺います。 32 石黒危機管理監 性暴力被害ワンストップ支援センターとやまの協力医に関しましては、今委員からお話のありましたとおり、豊富な経験と実績を有する産婦人科医3名の方に委嘱しておるところでございます。  この協力医の方々には、これまでも診察や相談対応を行うだけではなく、万が一に備え、夜間も連絡をとれるようにするなど、センターの運営を支えていただいておりまして、心から感謝を申し上げております。  そこでより幅広く相談に対応できますよう、また、現在の協力医の方々の負担軽減を図るため、県としては協力医の増員を検討しているところでございます。  今年度は、富山県医師会にも協力いただきながら、性暴力被害者への適切な医療提供のための研修会を2回開催いたしまして、小児科や泌尿器科、整形外科など、幅広い診療科の医師、合計46名の方に受講いただいたところでございます。  来年度は、この受講者の中から協力いただける方数名を追加で協力医にお願いしたいと考えておりまして、現在、医師や医師会等と調整作業を進めておるところでございます。  今後とも医師の方々や医師会を初め、警察、市町村、関係機関等と連携いたしまして、被害者の年齢や性別、住所地などにかかわらず迅速、適切な医療が提供できるよう努めてまいりたいと考えております。 33 奥野委員 最後に、広報活動について伺います。  昨年、議会の出前講座で富山市の専門学校にお邪魔したときに私が担当したグループで、このセンターの広報についてどう取り組むのが効果的かというワークショップをさせていただきました。  被害に遭っている年代にちょうど該当するような若い子たちからは、もっとSNSやインターネット広告を活用して、情報を届けたいターゲットに的確に定期的にアプローチするのがいいんじゃないか、そのときに必要性を感じていなければ、なかなか頭に残らないという意見がありました。  また、この問題は一人で抱え込むケースが多いのですが、被害に遭ったときに、最初に相談するのが親という想定をしたときには、子供たちにカードを配るだけじゃなくて、保護者にもちゃんと情報を伝えないとだめだよねという意見もありました。  まだまだ工夫の余地があると思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 34 石黒危機管理監 性暴力被害ワンストップ支援センターとやまの広報啓発に当たりましては、性犯罪の被害者は未成年者が約半数を占め、また、誰にも打ち明けることができずに潜在化するケースが多いとされており、こうした特性を踏まえて、創意工夫をすることが必要かと考えております。  県では、これまで、センターの専用ホームページの開設や、あるいはツイッターの利用、パンフレットの作成配布に加えまして、プライバシーに配慮いたしまして、電話やQRコード等を記載したカードを全ての中学生、高校生、大学生に配布するとともに、同じ内容のシールを公共施設等の女子トイレ内に張りつけるなど、若者世代を中心に広く情報が伝わるよう工夫をしてきたところでございます。  それで、この1年間のセンターの相談実績を見ますと、センターの支援を必要としている方々は性別を問わず、また年代も幅広いことから、やはり広く県民に周知することも一定程度やっぱり必要かとは思っております。  ただ、委員御指摘のとおり、被害の潜在化を防止し、より相談しやすくしていくためには、ターゲットを絞ったピンポイントの働きかけの広報も効果的と考えておりまして、今後はインターネットやSNS広告の活用などにつきましては、関係機関とも意見交換をしながら研究してまいりたいと考えております。 35 奥野委員 ぜひお願いしたいと思います。終わります。 36 五十嵐委員長 奥野委員の質疑は以上で終了しました。        筱岡貞郎委員の質疑及び答弁 37 五十嵐委員長 筱岡委員。あなたの持ち時間は60分であります。 38 筱岡委員 それでは、よろしくお願いいたします。  まずは改元の対応についてお伺いしたいと思っております。ことしは30年続いた平成から新たな元号にかわる年です。4月30日に天皇陛下が退位され、5月1日に皇太子殿下が新天皇に即位されます。大変おめでたいことであり、こうした時代の節目に立ち会えることをうれしく思っております。  私の新元号の予想の中には、例えば知事の下の名前の「隆」がつくものもありますし、私の下の名前の「貞」がつくという予想もしておりますので、また楽しみにしたいと思っております。  さて、改元により行政機関でも元号表記の変更や西暦との関係づけなど、さまざまなシステムの改修が必要になると考えられます。  新元号の発表は4月1日と聞いておりますが、システム改修に十分な時間があるのか、少し心配であります。思い返せば西暦2000年問題のときには、事前に十分な準備をしていたにもかかわらず、全国的には一部の情報システムで混乱も生じておりました。  県のさまざまな情報システムについては、短い改修期間の中ではありますが、混乱が起きないようにしっかり対応していただきたいが、どのように取り組むのか、滝経営管理部長にお伺いします。 39 滝経営管理部長 改元に伴うシステム改修でございますが、国の新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議におきまして、国の情報システムについては、改元日に間に合うよう改修作業を終了すること等を決定し、地方公共団体も政府の取り組みを参考にすることとされたことを受けて、平成30年7月と本年1月の2回にわたりまして、国から地方公共団体に対し、改元に伴うシステム改修等に適切に対応するよう要請をされております。  本県におきましては、平成29年6月に天皇の退位等に関する皇室典範特例法が公布され、改元に伴う情報システム改修の必要が想定されたことから、国からの要請を待たず、平成29年9月には全庁に対してシステムの総点検と改修の要否、改修費用、改修予定時期に関する調査を行っております。  その結果、県の182ありますシステムのうち、81のシステムについて改修が必要であると判明したことから、平成30年度の予算におきまして必要額を計上の上、順次改修を行っております。プログラムの修正と現時点では仮の元号になりますが、仮の元号による動作確認、移行作業の確認を今月末までに完了する予定でございます。  なお、4月1日に新元号が公表された後、仮の新元号を新元号に置きかえて再度動作確認し、移行する予定となっておりまして、改元日までに対応は十分間に合う見込みとなっております。県といたしましては、県民生活に支障が生じることがありませんように、新元号への円滑な移行に向けて万全を期して対応してまいります。 40 筱岡委員 円滑にお願いします。  続いて、農業問題で7点ほど質問させていただきます。  県のことしの米の生産目標は、前年と同様ということであります。国は1%から2%、需要見込みを少なく見ていたわけですので、そういう点からいいますと、富山県農業再生協議会の英断は大変うれしく思っております。  また、今回の県の農業関係の予算を見ておりますと、水田農業生産振興対策事業に8億1,000万円、産地パワーアップ事業に4億円などということで、力強い農業づくりのためにいい予算を組んでいただきました。特に地元農協に対して温かい御支援をいただいたことを感謝申し上げるところでございます。  平成30年産から米政策が見直され、平成30年産は北海道の不作などにより米の需給は安定しているが、今後も引き続き需要に応じた米生産と水田のフル活用に取り組んでいくことが重要であり、米政策見直しの2年目が正念場の年であると思います。  水田農業の生産性を向上させ、農業所得の増大を図るため、水田フル活用をさらに進めるための方策として、大麦等の冬作物の後の遊休化している水田の高度利用の推進が重要であると考えています。具体的には、大豆や加工用米、JAいなばが全国一の産地となっているハトムギなどを組み合わせることが考えられますが、取り組み状況と今後どのように進めていくのか、芝田農林水産部長に伺います。 41 芝田農林水産部長 本県農業の生産性、収益性の向上により、農家所得の拡大を図るためには、水田フル活用の推進が重要であります。大麦等の冬作において収穫後の農地を不作付にした場合には、農地の生産力を生かすことができないということもございますし、雑草の繁茂により環境や景観への悪影響も生ずるといったことにもなるわけであります。  このため、県では、国の戦略作物助成や産地交付金の対象となります冬作物の大麦と、夏作物であります大豆やそば、ハトムギ等を組み合わせた二毛作を推進いたしますとともに、県独自にタマネギとニンジンを組み合わせた作付体系の普及も進めており、また、今年度から新たに大麦後での非主食用米の作付の支援にも取り組んでおるところでございます。  これらの取り組みによりまして、今年度の大麦後の二毛作の割合が昨年度の57%から60%に増えまして、遊休水田が減少する一方で、ハトムギや非主食用米の作付が大幅増となっております。ハトムギにつきましては、平成29年度が70ヘクタールだったんですけれども、今年度は110ヘクタールということで、40ヘクタール増えてございます。  平成31年産におきましては、こうした大麦後水田の有効活用の取り組みを県農業再生協議会で決定された米政策見直しへの対応方針に明記して加速化することにしてございまして、さらに新年度予算案には、大麦の後作が可能であるハトムギの生産を拡大するため、JAいなばの共同乾燥設備の整備支援も盛り込んでいるところでございます。  今後とも、国に対し予算の継続的な確保を働きかけますとともに、県独自の施策も組み合わせまして、市町村や農業団体と連携して水田の高度利用にしっかりと取り組んでまいります。 42 筱岡委員 ハトムギは面積が増えたんですが、昨年台風でやられまして大分収量が悪かったことがちょっと残念でした。ただ、高収益作物になるように生産体制もしっかりしなければならないと思っております。  続いて、県産米の高品質、良食味確保対策についてでありますが、米政策の見直しなどにより産地間競争が激化している中、米を基幹とする本県農業において、高品質でおいしい米づくりを進めていくことが極めて重要です。  本県の平成30年産米は、夏の猛暑に加え、収穫間際の台風の襲来や長雨など、米づくりがとても大変だったと思いますが、作柄は作況指数がやや良の102、1等比率は1月末現在で89%と、平成26年産から5年連続、北陸4県で最高となっています。また、先般発表されました食味ランキングで、県産米としては初めてコシヒカリとてんこもりの2品種が特Aに格付されたところです。  こうした成果が得られた要因と次年度に向けた一層の品質、食味向上対策について、石井知事に伺います。 43 石井知事 委員のお話のとおり、本県の平成30年産米は異常気象もあった中で大変いい成果を上げられました。また、コシヒカリ、てんこもりの2品種が同時に特Aとなったことは、大変よかったと思います。こうした成果が得られました要因としては、コシヒカリの5月15日を中心とした適期の田植えや溝掘り、中干し。また、早生品種を中心に被害が懸念されましたカメムシの防除。また、猛暑が続いた中、稲の活力維持のための追加肥料の施用や穂が出た後の湛水管理。また、収穫時期に台風や長雨に見舞われた中で、晴れ間を見た速やかな収穫による胴割れ米の発生防止等、生育や気象の条件に応じた適切な栽培管理対策の徹底に、農業者の皆さんはもちろんですけれども、JAなど関係団体が一体となって取り組んでいただいた結果だと思っております。  ただ、一部の圃場では、コシヒカリの早い田植えや中干しのおくれなどによる品質低下が見られたこともございますので、平成31年産米は──1等米比率を90%以上確保したいといつも思っておりますので、高温に打ち勝つ米づくりをスローガンとしまして、コシヒカリの5月15日を中心とした適期の田植えの確実な実施、また、中干しによる過剰なもみ数の防止など、重点技術対策に一層の徹底を図りますとともに、各地域で農業者の方にわかりやすい作業指示版の活用──溝掘りや中干し、適期収穫などをこの指示板に出すのは大変農家の方にも喜んでいただいているようであります。また、現地研修会等を通じました情報提供など、迅速かつきめ細かな指導を展開したいと思います。  また、昨年デビューして本格作付を開始しました「富富富」についても、酷暑の中で驚異的な1等米比率98.8%ということにもなりましたが、今後も引き続き高品質でおいしい「富富富」を生産するために努力しますとともに、新しい年度では特別栽培米の生産をモデル的に取り組みまして、評価を一層高めていきたいと思います。  今後も産地間競争が、ますます激化すると思いますから、そうした中で、富山米が、高品質でまことにおいしいといった高い御評価をいただけるように今後ともしっかりと取り組んでまいります。 44 筱岡委員 今ほど知事からも「富富富」のことを触れていただいたわけですが、確かに去年のような天候条件の悪い中で1等米比率99%近くの、すばらしい品質を生み出していただき、消費者からも大変評価がいいと聞いております。  ただ、一部の生産者からは、収量がやや物足りない、青未熟粒の発生が目立ったという声も聞かれました。2019年産「富富富」の作付面積は倍増することが見込まれており、まさしくデビュー2年目が正念場になります。  こうした収量や青未熟粒の発生などの課題解決に向け、2019年産「富富富」についてどのような技術対策を講じるのか、芝田部長に伺います。 45 芝田農林水産部長 平成30年産の「富富富」は、1等米比率が約99%と極めて高品質となり、倒伏しにくい特性も実証されました。また、食味のよしあしの指標とされる玄米たんぱく含有率も、目標とする6.4%以下をクリアいたしまして、平均5.9%となっております。県内外の消費者から高い評価を得ているところでございます。  ただ、10アール当たり平均収量につきましてはコシヒカリよりやや少なく、収量が伸び悩んだ圃場の状況を分析しますと、田植え後1カ月ごろから水を落とす中干しの開始がおくれて生育過剰となったこと、また、穂が出る前に施用をする肥料を控え過ぎて、稲の活力が低下をしたこと、さらに胴割れ粒の発生を防止するために収穫時期を早め過ぎたといったことなどから、青未熟粒が多く混入したことが挙げられます。  こうした課題の解決を図るため、広域普及指導センターや農林振興センターなどで構成する、「富富富」栽培技術普及推進チームが中心となって栽培技術の見直し作業を進めてきたところであり、品質、収量ともに良好であったJAいなばさんの優良事例も参考にさせていただき、中干し開始の早期化、穂が出る前に活力が低下した場合の適切な施肥、適期の収穫などをポイントとし、高品質、良食味と安定した収量をあわせて確保するための新たな栽培マニュアルを作成いたしまして、先般、生産者の皆さんに提示したところでございます。
     今後ともこの栽培マニュアルをもとに、農業団体や地域協議会と十分連携して研修会や個別巡回などを行いまして、きめ細かな指導を行い、収量や品質が確保されますようにしっかりと取り組んでまいります。 46 筱岡委員 この「富富富」に関しまして、2月22日は語呂合わせで「富富富」の日ということでありますが、ことしも県内の小中学校の学校給食で「富富富」が提供され、児童や先生方に好評であったと聞いておりますが、その取り組み結果と次年度の取り組み方針について伺います。 47 芝田農林水産部長 「富富富」が県民に広く認知され、愛されるブランド米となるよう、県では、「富富富」の語呂に合わせまして2月22日を中心に、県内ほぼ全ての小中学校276校の給食に「富富富」約7万9,000食を提供いたしまして、本県の将来を担う児童生徒の皆さんに味わっていただいたところであります。  「富富富」給食の実施に当たりましては、児童生徒の皆さんに「富富富」の特徴や魅力を知っていただくため、教育委員会と連携して、学校の給食だよりや校内放送で活用いただける、わかりやすい原稿を作成し各学校に配付をいたしました。中には首長さんや市や町の教育委員会の事務局長さんが給食に同席をされて、県職員から「富富富」の魅力等を説明させていただいた学校もあります。「富富富」を食べた児童の皆さんからは、ふたをあけた瞬間にとても甘いよいにおいがして早く食べたくなった、ふだん食べているお米もおいしいけれども「富富富」はもっと甘いしおいしい、といった感想をいただくなど、大変好評だったと聞いております。  新年度につきましては、「富富富」の作付が1,100ヘクタールと平成30年産の約2倍となり、より多くの皆さんに味わっていただけるということもございまして、学校給食に「富富富」を無償提供することは計画しておりませんけれども、今後も積極的に学校給食に利用いただくことで、できるだけ多くの児童生徒の皆さんに「富富富」の魅力を知ってもらえるように、教育委員会と連携して「富富富」のPRに努めてまいりたいと考えております。 48 筱岡委員 せっかく語呂のいい日でありますから、有効にPRする日にしていただければと思っております。  続いて、中山間地域の農業について1つ伺います。  中山間地域の基幹産業の1つである農業については、地域特性に応じた展開が必要であると考えておりますが、そのためには農業者が持続的に営農を継続できる環境整備が求められます。そのための主要施策として、中山間地域等直接支払制度が県内各地で取り組まれておりますが、現在の実施状況はどうなっているのか。また、本制度は次年度、第4期対策の最終年度を迎えますが、高齢化等による集落機能の脆弱化が進行する中、中山間地域の農業振興を進めるためには次期対策での取り組みの継続が重要であると考えますが、今後どのような対策を講じていくのか伺います。 49 芝田農林水産部長 中山間地域等直接支払制度は、急傾斜など農業の生産条件が不利な中山間地域における適切な農業生産活動の継続に対する支援制度でありまして、今年度は380の集落で、対象農地の面積で言えば86%におきまして、耕作や農用地、水路等の維持管理などに取り組まれております。  現在の第4期対策は、来年度で5年目、最終年度となりますが、2020年度からの5期対策に向けまして、昨年度県が実施をした取り組み集落へのアンケート結果では、約8割の集落で本制度を通じて集落の協働意識が高まったとする一方で、高齢化や人口減少による担い手不足、リーダーの不在等によりまして、約半数の集落から、取り組み面積を縮小せざるを得ない、取り組みの継続が困難といった回答がありましたので、活動を維持、強化するための支援策が必要と考えております。  このため、新年度予算案では、国の制度拡充を活用いたしまして、1つには営農ボランティアなど外部からの新たな人材の確保、活用や、2つには地域の活性化に取り組むNPO法人など、営農以外の組織との連携による集落機能の強化、3つには農作業の省力化に向けた自走式草刈り機の導入等によるスマート農業の推進、こういった取り組みを行った場合に加算措置を講ずるといった支援を県内の複数のモデル地区において実施したいと考えております。  今後とも中山間地域での農業生産活動が継続されますように、次期対策への円滑な移行を図ってまいります。 50 筱岡委員 続いて、イノシシについてでございますが、イノシシ等による農作物被害が深刻化していることから、県では、昨年度末に富山県イノシシ被害防止対策方針を策定し、県内に被害ゼロモデル集落を小矢部市でも2地区設定し、侵入防止対策と捕獲対策に集落環境管理を加えた総合的な対策を進めておられます。  ついては、今年度の野生鳥獣による農作物被害額はどのようになっているのか、また、被害ゼロモデル集落における対策の取り組み状況及び次年度へ向けた取り組み方針について伺います。 51 芝田農林水産部長 野生鳥獣による農作物への被害額は、近年おおむね1億円前後で推移しておりましたが、今年度は約6,600万円と昨年度より3割減少しております。イノシシ被害も約5,300万円と昨年の7,200万円余りと比べますと約3割下回っているんですけれども、やはりイノシシの被害額は全体の約8割を占めるということになってございます。  こうした中、県では、今年度新たに8つの被害ゼロモデル集落を設定いたしまして、3年以内の被害ゼロを目指し、これまでの侵入防止柵の整備や捕獲活動に加えまして、餌場や隠れ場の除去など、イノシシを引き寄せない環境づくりを地域ぐるみで総合的に推進し、その効果の実証に取り組んでいただいております。  その結果、新たに地域ぐるみでの点検、パトロールなどによる電気柵の管理や、イノシシの生息場所となるやぶの刈り払いの徹底、センサーカメラの監視等による効果的な捕獲などが行われまして、8つの集落のうち5つの集落において被害が減少し、うち1つの集落は被害がゼロとなりました。  一方で、耐雪型侵入防止柵の柵の下の掘り返し等による侵入や、放任果樹によるイノシシの誘引などの課題が見られたことから、新年度はモデル集落におきまして、柵の下の部分の補強や掘り返し箇所の補修、放任果樹の伐採などの集落環境管理の徹底を実践していただくこととしております。  今後、これらの実証結果について、被害対策に取り組む農業者等を対象とした研修も開催いたしまして、県内全域の鳥獣被害に悩む集落にしっかり普及してまいりたいと考えております。 52 筱岡委員 駄弁でございますが、新春からいろんな会合へ出ておりまして、いのしし年にかけまして「い」は「いつまでも」、「の」は「のびのびと」、「し」は「しっかりと」、最後の「し」は「しあわせに」、という挨拶を何十回もやったわけでございますが、市長や皆さんからは、最後の「し」は「しのおかを」ではないのかとおっしゃっていただきまして、本当にうれしく思ったときもあったわけでございます。  農業問題の最後に、食品製造残渣等の家畜用飼料としての利用について伺います。  畜産を経営する上で、生産コストの多くを占める飼料費を削減することが重要となっておりますが、近年、飼料価格が高どまりしており、畜産農家の経営を圧迫しております。また、食品製造業者においては、食品を製造する際に発生する残渣の多くが食品でありながら廃棄されているのが現状です。私の地元であります小矢部市では、県内でも割と早くからこの食品製造残渣を豚の飼料、いわゆるエコフィードとして利用し、飼料費の削減に努めている養豚農家があります。  食品製造残渣等をエコフィードとして利用することは、食品廃棄物の削減のみならず、畜産農家の生産コストの削減にもつながることから、今後、その利用拡大を進めていくことが重要と考えます。  そこで、県内におけるこのエコフィード利用に取り組んでいる事例としてどのようなものがあるのか、また、県として今後利用拡大に向けてどのような対策を講じていくのか、芝田部長にお伺いします。 53 芝田農林水産部長 食品製造残渣等を飼料化するエコフィードは、食品製造業者にとっては廃棄せざるを得ない食品残渣等の有効活用を図ることができ、また、畜産農家にとりましては飼料費の軽減などが図られ経営改善につながるなど、両者にとってウイン・ウインの効果がある取り組みであると考えております。  県内における先進的な取り組み事例といたしまして、これまで小矢部市の養豚農家のパンや菓子くずの利用を初め、県内各地で酪農の豆腐かす利用や養鶏でのパンくず利用など、9例が実施されてきております。県ではこれらの取り組みをさらに促進するため、平成29年度から、県内の食品製造業者において発生した残渣と畜産農家の飼料としての需要を調査して、この結果をもとに両者のマッチングを推進するとともに、エコフィードの栄養成分等の評価を行ってまいりました。  また、ハード面では、畜産農家に対し、残渣の腐敗防止に必要な保冷施設などの導入を支援してきております。この結果、エコフィードの利用量の拡大や新たな利用への取り組みが進んできておりまして──先ほど御紹介もありましたけれども、小矢部市の養豚農家では、平成28年は3,300トンの取り扱いでございましたけれども、平成30年は3,500トンになってございますし、今現在、新たに7農家でマッチングが進んでいる状況にございます。  さらに新年度予算におきましては、新たに、畜産農家等に対し食品製造残渣の運送料などを支援し、費用削減効果などの実証を行うことや、食品製造業者、畜産農家、消費者の3者が一緒にエコフィードを利活用している現場を視察いたしまして、取り組み上の課題を把握して対応方法を検討する、あるいはエコフィードのメリットや課題を共有するといった事業を盛り込んでおりまして、今後ともエコフィードの一層の推進に積極的に取り組んでまいります。 54 筱岡委員 よろしくお願いします。  続いて、空き家対策についてでございます。昨日も薮田委員や浅岡委員もいろいろ触れておられましたが、私も2点ほど伺います。資料の配付をお願いします。  空き家問題については、近年深刻度を増しており、市街地のみならず、農村部、山間部など至るところで発生しております。景観上も防災、防犯上も放置しておけない問題であります。  総務省統計局の平成15年及び平成25年の住宅・土地統計調査によりますと、本県の空き家数は平成15年が約4万7,000戸、平成25年が約5万6,000戸と、10年で9,000戸、約2割もふえており、また、地元小矢部市においても、平成15年が1,050戸、平成25年が1,260戸と、10年で210戸の増、率では20%と、県と同様に約2割ふえているのが現状であります。  これは5年に1回の調査ですので平成30年の調査結果がもうすぐ出ると思いますが、当然のごとく5年前よりふえておると予想されます。今後、人口減少や少子高齢化、核家族化が進み、空き家の一層の増加が懸念されますが、今後の空き家の増加をどのように見込んでおられるのでしょうか。  また、空き家予備軍とされる、現時点では空き家となっていない住宅所有者の方々に問題意識を持っていただき、少しでも空き家の発生を抑制する取り組みが必要と考えますが、今年度に実施された空き家発生未然防止事業の取り組み状況とあわせて、水口土木部長に伺います。 55 水口土木部長 人口減少の進行などによりまして、全国の空き家数は2003年の659万戸から2013年には820万戸と10年間で約1.24倍に、また、委員から御紹介ありましたとおり、本県の空き家数は2003年の4万7,300戸から2013年には5万6,200戸と約1.19倍にふえておりまして、全国と同様、本県の今後の空き家数についてもさらに増加していくことが懸念されているところでございます。  そのため、県では、これまでの空き家の解消対策に加え、高齢者世帯などを主なターゲットとして、今年度から新たに空き家発生未然防止事業にも取り組んでおり、空き家の増加の抑制に努めております。  具体的には、空き家の弊害や住宅を将来空き家にしないための留意点などを高齢者にもわかりやすく紹介したパンフレットの作成や、このパンフレットを活用した講習や専門家による講演などを行います、住まいのライフプランセミナーを民間団体と連携して県内4カ所で開催しましたほか、市町村が行う住まいに関する将来の悩みや不安についての個別相談会の開催を支援するなど、空き家発生の未然防止について広く県民への普及啓発に努めております。  県としましては、今後とも市町村や民間団体と連携協力しながら、空き家の解消対策とあわせて、空き家発生の未然防止対策も積極的に展開していくことによりまして、空き家の増加の抑制に努めてまいりたいと考えております。 56 筱岡委員 続いて、各市町村においても空き家バンクによる空き家利用のマッチングや空き家を活用する際の支援制度を設けるなど、空き家の利活用に向けたさまざまな取り組みが進められております。  県としても、市町村との役割分担のもとに連携して取り組む必要があると考えますが、空き家の解消に向けた今後の県の取り組みについて部長に伺います。 57 水口土木部長 空き家等対策特別措置法では、空き家対策の主体は市町村とされ、一方、都道府県は市町村相互間の連絡調整と支援などを行うこととされております。  本県では、まず連絡調整につきましては、県、市町村、不動産等の関係民間団体で構成します空き家対策官民連絡協議会を定期的に開催し、空き家対策について幅広く情報共有や意見交換を行っております。  また、市町村等への支援としましては、まず、空き家の流通や利活用の促進につきましては、空き家の利活用に係る地域ぐるみの取り組みや移住促進のための空き家活用の取り組み、空き家物件と県内外の入居希望者とのマッチング等を行う民間団体の取り組みなどへの支援のほか、新年度からは新たに、例えば移住者向け賃貸住宅への活用など、空き家活用のモデルとなる先駆的な取り組みを支援することとしております。  また、老朽空き家につきましては、所有者が不明のため、市町村がやむを得ず行政代執行により除却する経費に支援をしております。さらにこれらの空き家の解消対策に加えて、今年度からは空き家発生の未然防止対策にも取り組んでおります。  県としましては、今後とも市町村相互間の連絡調整や支援に努めることはもとより、市町村との緊密な連携のもとに、引き続き民間団体への支援を含めた総合的な空き家対策を展開し、空き家の解消に積極的に取り組んでまいります。 58 筱岡委員 たまたまきょうの新聞にも載っておりましたが、木造空き家簡易鑑定士という資格があり、小矢部市で試験や勉強などをしておったようでございます。そういう人たちともうまく連携をとっていただければと思っております。  続いて、地域の活性化について4点ほど質問させていただきます。  まず、昨年6月20日、能越自動車道の福岡料金所が廃止され、小矢部東本線料金所で一括して料金徴収を行う全区間均一料金に変更されました。これについては、県の対応に本当に地元からも大変高い評価をいただき、これにより利用者にとっては一旦停止と支払いの手間が省け、利便性が向上し、交通量が相当ふえております。  一方で、料金は実質的に値下げとなっており、収支悪化も懸念されます。ことしの交通量や料金収入の状況とあわせ、今後の利用促進に向けた取り組みについて、水口部長に伺います。 59 水口土木部長 今ほど委員から御紹介いただきましたとおり、能越自動車道につきましては、昨年の6月20日から福岡本線料金所を廃止し、料金徴収を小矢部東本線料金所の1カ所に集約して、小矢部砺波ジャンクションから高岡インターチェンジ間の全区間を均一料金とする料金体系の変更を行ったところであります。  この変更後の昨年7月からことし1月までの7カ月間の1日当たりの平均交通量につきましては、まず、小矢部砺波ジャンクションから小矢部東インターチェンジ間では、約4%増の約7,100台、小矢部東インターチェンジから福岡インターチェンジ間では、約31%増の約1万1,000台、福岡インターチェンジから高岡インターチェンジ間では、約115%増の約1万4,400台となっております。  また、料金収入につきましては、料金体系変更に伴い見直した収入見込みでは、平成30年度の料金収入は、対前年比12%の減少になると推計しております。料金体系を変更した昨年7月からことし1月までの7カ月間の料金収入でございますけれども、平成29年度の同期間と比べますと、約6億300万円から約5億3,100万円と約12%の減となっており、現状においてはおおむね計画に沿ったものとなっております。  今後の交通量の増加につながります利用促進につきましては、能越自動車道の石川県内の未開通区間の供用や、東海北陸自動車道の付加車線の設置などにより交通量の増加が期待されますが、県としても福岡パーキングエリアの利活用を検討しますとともに、引き続き中日本高速道路株式会社と連携し、ドライブプランを実施するなど、利用促進に努めてまいりたいと考えております。 60 筱岡委員 福岡料金所がなくなったことで115%増ということは、2倍以上ということですよね。それだけのすごい効果が出たと。料金収入は12%減ったとしても、管理費は1つの料金所がなくなったので、収支にはそんなに大きな影響はないんじゃないかなと思っております。いずれにせよありがとうございました。  次に、東海北陸自動車道についてでございますが、先月、東京の海運ビルでの4車線化の総決起大会に私も参加させていただいたところでございます。東海北陸自動車道については、早期の全線4車線化に取り組むことはもちろんですが、まずは現在、県内で整備されている付加車線10キロについて早期の供用を図り、交通の安全確保や利便性の向上を図る必要があると考えます。2020年度の完成を目標に整備中と聞いておりますが、現在の進捗状況と4車線化へ向けての取り組みについて、知事にお伺いをします。 61 石井知事 東海北陸自動車道の付加車線の設置工事につきましては、県内2区間、延長約10キロについて、平成29年8月に着工式が行われておりまして、順次工事が進められ、新年度早々には両区間において全ての橋梁工事、盛り土工事に着手される予定になっております。  2020年度末の完成を目指して、残る舗装工事とガードレールなどの安全施設工事についても今後発注されるものと聞いておりまして、一日も早い付加車線の設置を国や中日本高速道路株式会社に働きかけてまいります。また、できるだけ地元に発注していただくように努力いたします。  また、国では、暫定2車線区間の4車線化について、高速道路における安全・安心計画において優先的に4車線化すべき区間を選定するほか、年度内には、財政投融資の活用により4車線化する区間を選定するとしております。  富山県としましては、これまでもさまざまな機会を通じまして、石井国土交通大臣はもちろんですけれども、関係大臣や安倍総理、岸田政調会長など、いろんな方々に東海北陸自動車道の早期全線4車線化を要望しております。また、先月13日には、岐阜県と連携して東京で総決起大会を開催しまして、委員にも御参加いただいて大変ありがたいと思っておりますけれども、4車線化の必要性やその大きな効果を国などに改めて強く訴えたところでございます。  県としましては、岐阜県や沿線市町等とも連携しまして、同盟会などを通じて付加車線の一日も早い完成はもちろんですけれども、トンネル区間を含めた早期の全線4車線化が実現しますように、大分手応えがあるなと思ってはいるんですけれども、引き続き国会議員や、また県議会の皆様のお力添えもいただきながら、国や中日本高速道路株式会社に積極的に働きかけてまいります。 62 筱岡委員 知事を先頭に、我々も一生懸命、またともに頑張りたいと思っております。  次に、国道8号の倶利伽羅トンネルの整備についでであります。  国道8号の石川県との県境にある倶利伽羅トンネルは、幅員が狭く、歩道もないばかりでなく、連続雨量180ミリメートルで通行どめとなる雨量規制区間となっております。また、アウトレットパークが開業してから──アウトレットパークについては最近でも年間約400万人に来ていただいているそうでございますが、交通量の増加により、頻繁に渋滞が発生しており、富山と石川をつなぐ大動脈としても一刻も早い整備が望まれます。  ついては、国道8号倶利伽羅トンネルの整備の進捗状況と、今後の整備促進の取り組みについて、水口部長にお伺いします。 63 水口土木部長 今ほど御紹介いただきましたとおり、国道8号の倶利伽羅地区でございますが、現況の交通量が1日当り約1万8,400台で大型車の通行も多いのですが、倶利伽羅トンネルは幅員が約7メートルと狭く、歩道が設置されておりません。また、トンネルを含む前後区間につきましては、土砂崩落の懸念などから、連続雨量が180ミリメートルで通行どめとする事前通行規制区間となっております。  このため、国では、平成28年度からトンネルを新設する倶利伽羅防災事業に取り組まれており、これまでにルートの検討や現地の測量、地質調査、道路の予備設計や交差点設計、工事用道路の検討、施工計画の検討などが進められてまいりました。今年度は、測量、地質調査、地すべり調査、トンネルの詳細設計が実施されております。  新年度以降、引き続きトンネル前後の取りつけ道路の詳細設計のほか、トンネルの坑口部や排水工の設計、あるいは照明や非常用施設の設計が進められるものと考えております。国道8号は本県の産業、経済、社会活動を支える大動脈でありますとともに、富山県と石川県の広域交流を支える極めて重要な幹線道路でありますことから、県としましては、今後とも小矢部市はもとより、石川県などとも連携し、倶利伽羅防災事業の事業促進、一日も早い工事着手につきまして国に強く働きかけてまいります。 64 筱岡委員 国土強靱化は、今、国を挙げて力を入れていただいておりますから、それをうまくこの事業へできるだけ多く当てはめていただければと思っております。  続いて、安定的な除雪体制についてでありますが、富山地方気象台によれば、今冬の県内は記録的な暖冬であり、建設業にとっては工事現場の生産性が向上するよい面がある一方、除雪作業による収入の大幅な減少や、除雪機械の保有に伴う経費負担が企業経営を圧迫することも懸念されます。県内建設業者は、県民の安全・安心の確保に重要な役割を果たしており、豪雪や暖冬にかかわらず除雪体制を整える必要がありますが、県として県内建設業の負担軽減など、安定的な除雪体制の維持に向けてどのように取り組まれるのかお伺いします。 65 水口土木部長 道路除雪は、冬期における県民の皆さんの通勤、通学などの日常生活や産業経済活動を支える上で極めて重要でありまして、県ではこれまでも安定的な除雪体制を維持するため、委託経費の見直しや除雪を担う建設企業等に対し必要な支援を行ってきております。  具体的には、委託経費につきましては、雪が少なく除雪機械の稼働時間が少ない場合でも、民間借り上げ機械の維持管理ができますよう、保険料などの必要経費を固定費として支払うこととしたほか、除雪機械のオペレーターの人件費につきましては、それまで出動しなかった場合のみ待機費用を支払っておりましたところ、出動した場合においても、出動までに必要な準備作業にかかる費用を支払うこととするなど、より実情を反映したものとなるよう算定方法の見直しを行ってまいりました。  また、企業への支援として、民間企業へ貸し出す除雪機械の増強や、大型特殊免許の取得費用等の一部を補助する除雪オペレーター育成支援事業などに取り組んでいるほか、除雪オペレーターを育成するための実地研修や除雪業者が効率的に除雪作業を行うため、路面状況の把握が可能となる監視カメラの増設などを実施しております。  県としましては、今後とも国や他県の動向を調査いたしますとともに、除雪作業に従事されている建設企業等の皆さんの御意見を、例えば年2回実施しております建設業協会の各支部との意見交換会や、土木センター、土木事務所において毎年実施しております除雪業者への除雪説明会の場などで伺いながら、実情を踏まえた支援策等の充実についても検討いたしまして、将来にわたり安定的な除雪体制を維持できるよう努めてまいります。 66 筱岡委員 去年とことしは極端でございますから、本当に大変ですが、よろしくお願いしたいと思っております。  最後に、問題の義仲・巴の大河ドラマ化についてお尋ねします。資料配付をお願いします。  苦節11年でございます。義仲・巴の大河ドラマ化については、これまでもNHKへの要望活動や広域連携推進会議でゆかりの地との連携を初め、むろん我が地元小矢部市でも積極的に連携して精力的に取り組んでいただいております。そのかいもあってのことと思うのでありますが、ことしに入ってからは、1月21日午後10時からはBS─TBS「にっぽん!歴史鑑定」では、義仲の人生に迫る「義経に討たれた木曽義仲」が、また、2月21日午後8時、NHKのBSプレミアム「英雄たちの選択」においても、「地方の怒り 都を制圧す!~木曾義仲の野望と挫折~」と題して放映されたところであり、どちらの番組も、義仲の不器用だけどいい人柄が放映され、好印象な感じで取り上げられたのでないかと実感しております。  大体この中の方は100%見られたと思っております。この前、ちょっとマスコミの人に聞いたところ、その番組のことは知らなかったと言う方もおられましたけれども、好視聴率だったかなと思っております。このように、2カ月間に2回も木曽義仲が好意的に取り上げられ、かつNHKのBS番組で木曽義仲が取り上げられたことはまことに画期的なことであります。  また、地元小矢部市でも、ごらんの資料のようにNHKのBS番組での放送に合わせて、2月19日から今月15日まで、大河ドラマ誘致への機運を高めようと、市役所の1階において、木曽義仲と巴御前の毛糸でできたジオラマや関係史料を展示した「義仲・巴の魅力を全国に!」と題した企画展を行っているところであります。  このような大きな追い風の中、県としてもこれまで以上の積極的な施策を展開していただきたいところでありますが、義仲・巴の大河ドラマ化の実現に向け、平成31年度の具体的な取り組みや、近いうちに知事にもみずからまたNHKに行っていただければありがたいと思っておりますが、それらのことについて知事にお伺いします。 67 石井知事 NHK大河ドラマ化につきましては、今、苦節11年という話もありましたけれども、私が知事に就任させていただいた間もないころから、筱岡委員を初め小矢部市、南砺市、朝日町など、本当に多くの県民の皆様から熱い思いを伺いました。そこで、何とか御支援申し上げたいということで、それにはまず本家の長野県がその気にならなければいけないといったことで、まず長野県知事──今の知事さんの前の方ですけれども、お話をして、その後、埼玉県の知事さんとかいろんな方にもお会いいただき、もちろん小矢部市初め関係市町村も入っていただいて、全国41自治体で平成21年8月に「義仲・巴」広域連携推進会議を立ち上げまして、大河ドラマ実現に向けて広域観光の振興などにも取り組んでまいりました。また、長野県知事や埼玉県知事、小矢部市長等々と連携しまして、NHK会長に対する要望活動を以来7回実施しております。  そういうことのかいもあって、今御紹介があったように、この1月にBS─TBS、また2月にはBSプレミアムで木曽義仲が好意的に取り上げられたことは大変うれしく思っております。私も全部じゃないですが、相当拝見いたしましたけれども、ツイッターでやっぱり見た方から、木曽の大河をぜひやってほしい、木曽義仲こそ再評価されるべき歴史的人物だ、それから、したたかな人より不器用な人が好き、また、義仲に最後までつき従ったのは旗上げ以来の家臣で、そういう人がいたというのはやっぱり義仲のすばらしい人間性を示していると、こういうようなツイート等もありました。これまでの広域的な取り組みの成果、もちろん小矢部市さんの御熱意も含めて、大分実りつつあるのかなと感じております。  お尋ねの大河ドラマ化実現に向けて、新年度はFMラジオ番組を小矢部市と連携して制作いたしまして、連携推進会議加入団体、41団体の義仲・巴ゆかりの地や関連イベントなどを全国にPRいたしまして、大河ドラマ化機運の醸成と観光客等の増加を図りますとともに、新たな義仲・巴の魅力を発信するために、秋ごろには義仲・巴顕彰記念講演会(仮称)などを開催することにいたしております。今のところ、ウイング・ウイング高岡等で考えております。  昨年6月に来県された埼玉県の上田知事からは、また一緒にNHKに要望に行きましょうといったお話もいただいておりますし、ぜひNHK会長に改めて要望しますとともに、小矢部市さんはもちろんですが、埼玉県や長野県、関係県と力を合わせて何とか早くこの大河ドラマ化となりますように、粘り強く努力してまいります。 68 五十嵐委員長 筱岡委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩します。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午後0時02分休憩                     午後1時00分開議        島村進委員の質疑及び答弁 69 筱岡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  島村委員。あなたの持ち時間は60分であります。 70 島村委員 社民党・無所属議員会の島村でございます。  私の最後の質問になろうかと思いますが、よろしくお願いをいたします。  大きくは3項目について質問します。  まずは、少子化対策について伺います。  少子化対策の推進については、我が県でも最重要課題の1つであり、私もこの2年間余り、さまざまな質問や提案もさせていただきましたけれども、大変広範囲にわたる課題でありまして、県としてもこの間、かがやけとやまっ子みらいプランに基づき、平成27年度から努力をされておりますが、その成果と課題、今後の方針についてお伺いをいたします。  最初に、家庭、地域における子育て支援の施策について、我々としても、保育の質の確保や放課後児童クラブの充実強化などをこの間求めてまいりましたけれども、これまでの取り組みの成果と課題並びに新年度方針について、厚生部長にお伺いをいたします。
    71 前田厚生部長 かがやけとやまっ子みらいプランのうち、家庭、地域における子育て支援につきましては、これまで保育所の整備を促進し、平成16年以降待機児童数はゼロを維持しておりますほか、放課後児童クラブの設置や病児・病後児保育などの特別保育の推進に積極的に取り組みまして、一定の成果があらわれてきているところでございます。  具体的には、例えば放課後児童クラブにつきましては、国基準に基づく助成制度に加え、県単独で国の助成対象とならない午後6時を超えて開所するクラブなどへの助成を行ってまいりました結果、クラブ数は、計画当初の平成27年度は239カ所でございましたけれども、平成30年度は272カ所、平成31年度には281カ所となる見込みでございます。また、午後6時を超えて開所するクラブも計画当初の平成27年度は82カ所でございましたけれども、平成31年度は115カ所へ増加する見込みとなっております。  また、病児・病後児保育についても国の補助制度を活用し、運営費や施設整備に支援をした結果、実施箇所は平成27年度の108カ所から平成30年度は139カ所に増加をしておりまして、今年度は新たに県独自の運営費支援制度を創設し、病児・病後児保育の一層の充実に取り組んでいるところでございます。  これらは、いずれも県子育て支援・少子化対策に関する基本計画の目標値を達成しているところでございます。  一方、女性の就業率の上昇や保育の多様化に伴い、今後も保育ニーズの増加が見込まれることから、保育人材の確保が喫緊の課題と考えております。このため、来年度は必要な保育士の確保等に総合的に取り組むこととしておりまして、引き続き実施主体であります市町村と連携いたしまして、家庭、地域における子育て支援の充実に努めてまいります。 72 島村委員 次に、仕事と子育ての両立支援について伺います。  この課題については、仕事と子育てに係る一般事業主行動計画策定への支援や企業子宝率調査、イクボス企業同盟とやまの運動の推進など、さまざまに取り組んでこられましたけれども、本当に効果があったのかどうか。本当の意味で、女性が働きながら安心して子育てができる、そんな富山県になっているかどうか。この間の取り組みの総括とともに、課題について知事にお伺いをいたします。 73 石井知事 仕事と子育ての両立支援のために、県ではこれまで働き方改革県民運動の推進、イクボス企業同盟の取り組み、また、次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定義務づけ対象企業の拡大──富山県だけが全国で唯一従業員30人以上の企業に義務づけているということですし、また、企業子宝率調査と先進的な企業などの取り組みの紹介、企業の顕彰等にも取り組んでまいりました。  こうした取り組みの結果、次世代法に基づく行動計画策定率は大幅に上昇いたしまして、従業員100人以下企業の策定率も──30人以下企業も含めた全企業で──全国平均の5倍以上で、全国トップとなっております。また、育児休業取得率が男女ともに上昇し、年次有給休暇の取得率についても平成28年に全国平均を上回って、平成29年度は初めて50%に達しております。女性就業率ももともと高かったのが、引き続き向上して、平成22年が68.2%だったのが平成27年は72%、また、イクボス企業同盟の加盟企業の拡大等もありまして、職場環境改善の取り組みが着実に広がって、一定の成果が出ているかなと思います。  実際に幾つか検証した企業の例を見ますと、残業時間の見える化によって時間外労働が2年間で約22%減った、また、女性の管理職比率が11%から18%に上がった、無駄な作業工程の削減で1人当たりの売上高が5年で2倍になった、離職率が下がった、などいろんな効果が出ております。  また、今年度実施した働き方改革県民運動の参加企業からは──100社を超えるわけですけれども、優秀な人材の確保、定着、また、社員の満足度や企業イメージの向上につながったといった声も多く聞かれております。  こうした取り組みをもっと多くの企業に展開していただきたいということで、新年度からは新たに、働き方改革・女性活躍応援サイトを構築しまして、企業の取り組みや国、県の支援情報を一元的に発信することにしておりますし、また、業界や業種によっていろんな事情もございますから、業界や業種ごとの研修会への先進企業の派遣等を行う合同コンサルティングの実施といったことも考えております。  また、イクボスシンポジウムを開催しまして、企業経営者の皆さんに優良事例の紹介や、全国レベルで先進的な取り組みをしている経営者による講演、経営者の方と私も加わらせていただいたパネルディスカッションも考えておりまして、なるべく実効性のある取り組みを引き続き積極的に働きかけて、仕事と子育てが両立できる環境づくりにしっかり取り組んでまいります。 74 島村委員 それぞれ努力がなされているということでございましたけれども、さらに実効性が上がるように努力いただきたいと存じます。  次に、次世代を担う子供や若者の支援についてお伺いをいたします。  SNSによるいじめ等への相談体制の充実や、社会や地域のあり方を学ぶ環境整備など、課題が多くございます。家庭と学校がこれまで以上に連携し、子供の視点に立った取り組みが求められていると思います。そこで、次世代を担う子供や若者の支援を充実するため、家庭の教育力の充実、子供の生きる力の育成のさらなる拡充が必要と考えますが、教育長の見解を求めます。 75 渋谷教育長 本県の子育て支援・少子化対策に関する基本計画では、子供の生きる力を育成する教育の推進が基本的施策の1つとして掲げられております。また、この施策の基本方向として、御質問の家庭の教育力の向上を初め、個性や創造性を伸ばす教育の充実、豊かな心を育む教育の推進が位置づけられておりますので、来年度、取り組みをさらに拡充することとしております。  具体的には、これまで小中学生や幼稚園児などの保護者の方々を対象に実施してまいりました親学び講座の対象をゼロ歳から2歳児の保護者の方々に拡大することとしておりますし、新たに公民館において親子のふれあいを深め、地域のあり方を学ぶ取り組みも実施することとしております。  また、社会に学ぶ14歳の挑戦やSNSを活用したいじめ相談を引き続き実施いたしますとともに、今年度、国の目標を1年前倒しして、全ての公立小中学校に配置したスクールカウンセラーの配置時間を拡充することとしております。  さらに、幼児教育センターを新たに設置いたしまして、幼稚園や保育所などに、目標に向かって頑張る力や協調性などの非認知能力を高めるアドバイザーを派遣することとしておりまして、今後とも次世代を担う子供たちの健やかな成長のため、支援に努めてまいります。 76 島村委員 2点目に、少子化の原因について伺ってまいりたいと思います。  少子化を考える場合に、若い人たちの未婚化の問題が大きく課題としてのしかかってまいります。  そこで、まず、本県における過去25年間の20歳から49歳までの未婚率の推移はどうなっているのか、男女別にお示しを願いたいと存じます。総合政策局長にお伺いします。 77 蔵堀総合政策局長 本県の未婚率でございますけれども、全国と同様に、長期的に見て上昇傾向が続いております。  平成2年から平成27年までの25年間の20歳から49歳までの未婚率の推移を男女別、年齢別で見ますと、20代前半のところでは男女とも大きな変化はございませんが、20代後半以降の年代で大きく上昇しております。  具体的に申し上げますと、男性の場合ですけれども、平成2年に20代後半の方の未婚率は61.2%でございましたが、これが27年には73.6%。30代前半は22.7%から47.9%、30代後半で16.3%であったものが36.2%と、特に30代になりますと20ポイント近く上昇しているというところです。  また、女性の場合でございますが、男性よりは低くはなっておりますけれども、20代後半は平成2年で31.7%でしたが、これが平成27年では59.4%、30代前半が7.9%であったものが32.6%、30代後半が3.9%であったものが21.7%と上昇しております。30代になりますと、25ポイント近く上がっているという状況でございます。  さらに、50歳以上の未婚者割合、かつては生涯未婚率と言っていましたが、50歳時点で1度も結婚されていない方の割合ですけれども、50歳時未婚者割合は、平成2年では、男性が3.00%、女性が2.37%でございましたけれども、平成27年では、男性が21.94%、約19ポイント上がっています。女性は10.41%で8ポイントほど上がっているということで、全体として見ますと未婚化がかなり進展している状況でございます。 78 島村委員 大変未婚化が進行している、そして結婚適齢期と思われる男女ともに5割近い状況になっているという状態であります。  問題は、この未婚化の進行の原因をどのように分析しているのか。このことが大切でございます。  県においても、平成29年11月から平成30年1月にかけて、結婚に関する意識調査が実施をされております。その内容をどのように分析し、今後の少子化対策に生かそうとされているのか。少子化を克服するためにも、十分な検討と中長期的な対策が必要と考えるものでありますが、総合政策局長の所見をお伺いいたします。 79 蔵堀総合政策局長 20代、30代の男女2,000人を対象として平成29年度に結婚等に関する県民意識調査を実施いたしました。  未婚者の方の73%がいずれ結婚するつもりと答えておられまして、若い方の結婚したい、あるいはするだろう、という意識は非常に高いわけですが、今ほども御答弁申し上げましたように、未婚率は年々上昇するということでございます。  また、結婚していない理由についても聞いておりますが、男女ともに第1位は、適当な相手にめぐり合わないという答えでございます。これが男性の場合で41.7%、女性の場合は53.5%ということでございます。それに次いで多いのは、男性の場合は異性とうまくつき合えない、あるいは結婚資金が足りないという回答が多くなっております。女性の場合には、自由さや気楽さを失いたくないという答えが多くなっております。  こうしたことから、未婚化の要因としては、出会いの機会の減少、それから結婚そのものに対する価値観の変化というものがあると考えております。  ちなみに価値観の変化ですが、結婚は個人の自由であるから結婚しなくてもどちらでもよいということに賛成、どちらかといえば賛成と答えた方は、平成27年の調査でも58.4%と、約6割は個人の自由だから結婚してもしなくてもどちらでもいいという考えもお持ちだということでございます。  こうしたことで非常に結婚支援というのは難しいわけでございますが、県では、結婚を希望する若者への支援をかがやけとやまっ子みらいプランの柱の1つに位置づけております。  1つとしては、出会いの機会の創出のために、とやまマリッジサポートセンターによるお見合いの支援や企業間交流会の開催、あるいは企業など民間の方が実施される婚活イベントへの補助も実施しております。それから、2つ目には、結婚に対する気運醸成のためのイベントも開催しております。  また、結婚や出産などについて正しい知識を身につけて、自分の人生設計についてよく考えていただこうということで、中学生や高校生を対象としたライフプラン教育も実施してまいりました。  新年度でも自然な出会いを創出する異業種間交流会や、大学生などを対象としたライフデザインワークショップの開催に取り組む予定でございます。  結婚は、当然のことですが、個人の自由な意思決定に基づくものでございますので、施策の推進に当たっては大変難しい面もあるわけですが、今後とも県内の実態をしっかり把握、分析いたしまして、結婚を希望される方々の願いがかなう環境づくりが着実に進むように取り組んでまいります。 80 島村委員 価値観の変化などがあって大変難しい問題だというお話でございましたけれども、私は、この少子化、未婚化の底流には、やっぱり若い人たちの経済力の低下、これが大変大きな問題だと思っております。  それについては、やっぱり不安定雇用が拡大をしてきた、このことが大変大きいのではないかと私は思っております。その意味で、過去20年間の正規、非正規雇用の就業状況の推移はどうなっているのか、ぜひお示し願いたいと思います。商工労働部長にお伺いをいたします。 81 伍嶋商工労働部長 県内の正規及び非正規雇用の就業状況については、国の就業構造基本調査によりますと、平成9年では、正規の職員、従業員は39万2,000人で構成割合は80.5%、パート、派遣社員などの非正規雇用者は9万5,000人で構成割合は19.5%でありましたが、20年後の平成29年では、正規雇用者は31万7,800人で66.9%、また、非正規雇用者は15万7,200人で33.1%となっております。  この20年の期間で見ますと、正規雇用は13.6ポイント減少する一方で、非正規雇用の割合も同じく13.6ポイント増加しているという状況でございます。 82 島村委員 正規雇用率が高いといわれる富山県においても、今ほど御報告がありましたように、年々正規雇用が非正規雇用に置きかわってきている、こういう状態が続いております。平成29年には33.1%まで膨らんでいるというお話がございました。  このような働き方の規制緩和というのは、振り返ってみますと、1986年に労働者派遣法が導入をされ、10年後には業種が26業種に拡大をされました。そして、1999年の小泉内閣のときに製造業を含む全産業に拡大をされ、それから約20年余り、2割弱だった非正規労働者が今や働く人の4割に迫る、こんな水準に拡大をしてきているわけでございます。それと同時に、格差の拡大、若い人たちの貧困化が進行しているというのが現状だと思うものであります。  そこで質問でございますが、少子化の克服には、若年層の安定した雇用と安心して暮らせる賃金水準の確保が、根本的な問題と考えるものであります。  遠回りのようではあっても、若い世代の経済的な安定を図る施策、そして安心して子供を産み育てられる環境の整備というのが少子化克服の近道であり、強く求められていると考えますが、商工労働部長の所見をお伺いいたします。 83 伍嶋商工労働部長 国の少子化社会対策白書によりますと、平成24年度において、全国の30歳から34歳の男性のうち、配偶者を有する者の割合は正規雇用の57.8%に対して、非正規雇用では23.3%と2分の1未満となっております。これは25歳から29歳の男性においても、同様に正規雇用は31.7%に対して非正規雇用では13%という状況になっております。  このように未婚化と非正規雇用は、一定の関係性も見込まれることから、今後、少子化の克服のためには、正規雇用率を高めていく取り組みも重要と考えております。  一方、本県の正規雇用者の割合を見ますと、直近の平成29年の調査結果では、66.9%と全国第3位の高い水準にありまして、特に15歳から34歳の若年層について見ますと、平成24年に比べて約5%改善しており、77.8%と全国第1位となっております。  県では、若年層の安定した正規雇用をさらに促進するため、正規雇用を前提とした合同企業説明会を開催するとともに、国の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用して、中小企業が新分野の事業に進出する場合において、正社員を雇用する際の費用を助成するなど、産業政策と一体となった雇用創出に取り組んできております。  また、賃金水準の確保に向けては、最低賃金が過去最高額に改定されておりますほか、今年度の春闘においても、5年連続、金額、上昇率のいずれも昨年度を超える月例賃金の引き上げが行われておりまして、県では労働とやまに、こうした最低賃金額を初めとする状況を掲載して、関係団体等への配布を通じて、事業者に対して適切な取り扱いを求めているところであります。  今後とも、労働局など関係機関と連携しながら、若者等の正規雇用の促進や賃金水準の確保を通じて、その経済的安定に向けまして、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 84 島村委員 少子化の肝のところでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  3点目に、少子化対策の今後の方向性について知事にお伺いをいたします。  平成29年就業構造基本調査による男性雇用者の年代別所得分布を見ますと、25歳から29歳で年収200万円以下が13.7%、400万円以下でも70.6%を占めております。そして、30歳から34歳では、200万円以下が8.7%、400万円以下が51.3%、35歳から39歳でも200万円以下が6.7%、400万円以下が40.2%となっているわけでございます。  このような状況の中で、どうして将来に夢を持ち、結婚して子供を2人、3人と育てようという気持ちが出てくるのでありましょうか。少子化対策の今後の方向性については、第1に、先に申し上げましたとおり、若年層の雇用の安定と賃金水準の引き上げ。第2に、経済的理由で子供が持てない状況をなくすこと。また、女性の皆さんが子育てと働くことの両立がしっかりできる、そんな社会にすること。第3に、子供を地域で育てる体制の整備が私は重要と考えるものであります。  知事は、最近、富山は日本のスウェーデンという、井手教授の本をよく御紹介されております。少し鼻高かなとも思いますけれども、しかし、そのスウェーデンは、合計特殊出生率が1.9を実現しております。知事、ぜひ、日本のスウェーデンを自認されるのであれば、少子化対策をこそしっかり学び、富山でも合計特殊出生率1.9を達成する決意を持って臨んでいただきたいと存じますが、知事の所見をお伺いいたします。 85 石井知事 少子化対策につきましては、これまでもとやまマリッジサポートセンターなどの結婚支援や、保育料の無償化等の経済的負担の軽減、仕事と子育ての両立支援、放課後子ども教室の実施など、いろんなことをやって、全国トップクラスで努力していることは間違いないだろうと思います。  また、今ほど商工労働部長が答弁しましたとおり、若者の雇用の安定化にも努めておりまして、合計特殊出生率も何とか平成29年には1.55まで、以前は1.34まで落ちていたんですけれども、上がってまいりました。  日本のスウェーデンを自認しているじゃないかとおっしゃいますが、全然私は自認していないんです。スウェーデンと富山県、やっぱり違うのは、スウェーデンは、御承知のとおり、育児休業中の給付制度として両親手当があるなど、いろんな手厚い少子化対策を行っていますが、そのかわり税や社会保険料の国民負担率が56.9%です。日本は42.6%ですので、税金が非常に高いと。そのように社会構造が違いますので、富山県がスウェーデンのようになるはずがないんです。  ただ、そういう中でありますが、勤労者、あるいは子育て世代、若い世代にも配慮していろんな施策をやっているということかと思います。  少子化対策は国全体で取り組む課題ですから、全国知事会でも今ほどの北欧の例なども参考にしながら議論をしておりまして、若い人の雇用の安定、子育て世代の経済的負担の軽減、また、男性の育児参加の促進などについて、国に提言もしてまいりました。  また、地方としてもこの課題にしっかり取り組もうということで、新年度、国が幼児教育・保育の無償化を行う結果、一定の所得の多子世帯に対する副食費が有償になることから、これを市町村とも相談をして無償化する、あるいは保育士を確保するための総合的な対策、就学資金の貸し付けも含めて行います。  また、17歳の挑戦、県庁内保育施設の設置や、新たに家事、育児分担のキャンペーン、女性に偏りがちな家事、育児負担を少しでもバランスのとれたものにする努力をしております。  委員御指摘の3つの方向性は、まず第1の若年層の雇用の安定については、先ほど部長が申し上げましたように、本県の15歳から34歳の正規雇用率は77.8%で、むしろ以前よりも5%改善できていること、また、できるだけ処遇を上げようということで、国の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用して、処遇改善をする企業に対しして支援するというようなインセンティブもつくっております。  その結果として勤労者世帯の可処分所得は全国で第3位となっていますし、保育所の待機児童ゼロも維持しており、保育料の無償化にも御存じのように取り組んでおります。また、放課後児童クラブの実施箇所数も増加し、御指摘の点についてこれまでも積極的に取り組んでおりまして、その点では、私は島村委員さんと大きな方向は同じではないかと思っております。  少子化対策は、さまざまな施策を総合的に実施して取り組むべき課題でございます。それから、結婚やお子さんを持つということについて随分と価値観の変化がある。そういったこともございますので、新年度、社会経済情勢や県民の皆さんの意識の変化というものをしっかり踏まえながら、新たな少子化対策、子育て支援のプランの策定もしたいと思っておりまして、県民会議でもしっかり議論、御検討いただき、市町村や関係団体、企業と連携しながら、また、もちろんこの県議会での御議論も十分考慮させていただきながら、県民の結婚、出産、子育ての願いがかなう環境づくりを着実に進むようにしっかり取り組んでまいります。 86 島村委員 ぜひ県民希望出生率1.9を目指して頑張っていただきたいと思います。  2項目めの質問として、新たな地震被害想定についてお伺いをいたします。  平成29年12月に公表されました砺波平野断層帯西部、森本・富樫断層帯、邑知潟断層帯の被害想定については、これまでどのように県民へのPRや防災意識の啓発に取り組んでこられたのか、危機管理監の所見を伺います。 87 石黒危機管理監 本県に影響を及ぼす可能性のある主要活断層のうち、発生確率が比較的高く、発生した場合に社会的影響が大きいとして国の地震調査研究推進本部が追加調査をした砺波平野断層帯西部、森本・富樫断層帯、邑知潟断層帯につきましては、県において地震被害想定調査を実施し、一昨年12月にその結果を公表したところでございます。  この結果につきましては、県の地域防災計画に直ちに反映させるとともに、速やかに市町村へ情報提供を行い、関係のある全ての市で地域防災計画を改定していただいたところでございます。  また、県では、この調査結果を周知し、防災意識の啓発を図るため、被害想定や地震発生時の県民のとるべき行動内容や日ごろの備え等を記載したふるさと富山地震・津波防災ハンドブックを1万部作成し配布したほか、地震や津波をテーマとした講演会の開催や県ホームページへの掲載、新たな地震被害想定に基づく各種訓練の実施などによりまして、県民の皆様への周知、啓発を図っているところでございます。  今後とも県内で起こり得る大規模な地震に関する知識の周知や防災意識を高める取り組みを、市町村や関係機関等とも連携しながらしっかりと進めてまいります。 88 島村委員 2点目に、新たな地震被害想定を踏まえて、改めて呉西6市の地震防災対策の充実強化が必要ではないかと申し上げたいと思います。  特に、邑知潟断層帯については、ケース4で見ますと、これまでのどの断層帯の被害想定と比較しても、高岡市を中心に家屋の倒壊や死傷者数が大きくなっております。県民、市民の皆さんが我が事として受けとめ、危機意識を持って対応できるよう、大規模な防災訓練の実施や地域防災力の向上に結びつく実効性ある取り組みが求められていると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 89 石井知事 新たな地震被害想定調査による市町村別の想定被害量につきまして、お話のとおり、邑知潟断層帯では高岡、氷見、砺波、小矢部の4市、また、森本・富樫断層帯では南砺市が、県全体の被害量では最大となる呉羽山断層帯による想定被害量を上回っているわけでございます。  そうしたことも踏まえ、県としましては、市町村と連携して、例えば高岡や砺波地区では、地域の自主防災組織リーダー研修会や自主防災組織組織化研修会、また、防災に関する出前県庁等の実施などにより地域防災力の向上について──我々としては随分PRしているつもりですが──地震被害想定の結果や地震発生時の避難行動、常日ごろの備えなど、防災体制の必要性の啓発に取り組んでおります。  また、今年度の総合防災訓練では、邑知潟断層帯を震源とする地震を想定いたしまして、氷見市、高岡市、射水市のあわせて9会場で、地震により倒壊したブロック塀や家屋からの救出訓練、地震と集中豪雨の複合災害を想定した土砂、倒木の除去、また、高圧発電機車による緊急送電訓練、さらには、小中学校区ごとに避難訓練を実施いたしますなど、大規模な訓練でかつ実践的な訓練を行いまして、多くの方々に御参加いただいて防災意識を高めていただけたかなと思います。今後もこれは関係市町村と連携して努力してまいります。  さらに、これまで学校や橋梁などの公共施設の耐震化を進め、県立学校や県が管理する橋梁の耐震化は完了しておりますし、また、木造住宅や大規模建築物の耐震化の支援制度を設けまして、その普及啓発に努めております。  新年度の当初予算、今議会に提案させていただいておりますが、ハード対策として、新たに防災・危機管理センター(仮称)の整備、来年4月からの運航開始に向けた消防防災ヘリコプターの更新、また、木造住宅耐震改修の支援の拡充等を行うことにしております。  また、ソフト対策として、自主防災組織や消防団の資機材、装備への支援の拡充や、防災士の養成研修講座の受講者の拡大、災害時の受援体制の充実強化なども行っていくことにしております。  今後も住宅等の耐震化などを進めるとともに、お話のように各地域で最大クラスの地震が少し違うことから、津波、豪雨といったような問題も含めて、大規模な防災訓練の実施、地域防災力の向上に引き続き努めてまいります。 90 島村委員 3項目めに、耐震改修促進計画のさらなる拡充強化についてお伺いをいたします。  まず、富山県耐震改修促進計画の改定についてでありますが、県は平成28年10月に富山県耐震改修促進計画を改定しております。  しかし、平成29年に先ほども申し上げた新たな断層帯による被害想定を発表しておりまして、防災計画に盛り込んでおります。  そこでお尋ねしますが、本改修促進計画についても目的や位置づけ、想定される被害等、当然見直されるべきものと考えますが、土木部長の所見をお伺いいたします。 91 水口土木部長 県の耐震改修促進計画は、耐震改修促進法により、耐震化に係る国の基本方針に基づき、住宅、建築物の耐震化目標や必要な施策などを定めております。  平成19年4月に策定した当初計画の計画期間が平成27年度までであったことや、平成28年3月に国の基本方針が改定され、耐震化目標が見直されたことなどから、本県の現状も踏まえ、平成28年10月に改定し、新たに2025年度、平成に直しますと37年度までの耐震化の目標や具体的な施策を定めたところであります。  その後、現行計画を取り巻く状況が変化してきておりまして、昨年12月に国の基本方針が改定され、本年1月に国から各都道府県に技術的助言としての通知文書が発出されておりますけれども、その中で新たに耐震診断が義務づけられました不特定多数が利用する大規模建築物等の耐震化目標が設定されており、都道府県でも耐震改修促進計画を見直し、目標を設定すべきなどとされましたことから、県では計画の見直しを検討しているところであります。  この見直しの際には、昨年10月に総務省の住宅・土地統計調査が実施され、ことしの秋ごろには耐震化の進捗状況が明らかになると見込まれますことや、新年度からの耐震改修支援事業の拡充、委員御指摘の新たな地震被害想定調査結果などを踏まえ、市町村や関係機関、専門家などとも相談し、また、県民の皆さんの意見もお聞きしながら、県の現状に即した耐震化の促進に係る施策を計画に盛り込む必要があると考えております。 92 島村委員 続いて、耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標についてお尋ねをしますが、国は平成28年3月の改定において、耐震化率を平成32年度までに少なくとも95%にすること、そして、平成37年までには耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とする、といたしております。  そのような観点から、本県の目標設定も国の方針を踏まえるとともに、市町村ごとの耐震改修目標を明確にした改修計画にすべきと考えますが、土木部長の所見を伺います。 93 水口土木部長 本県の住宅の耐震化率につきましては、平成25年の72%から、2021年、平成32年には85%、2025年には90%まで引き上げることを目標としております。  この目標の設定につきましては──本県の場合、住宅の面積が大きく、耐震化の費用がかさむこと、地震の発生が少なく、危機意識が高くないことなどが要因かと思われますが──本県の住宅の耐震化率が全国より10ポイント低い水準であること、毎年新設の住宅着工戸数が6,700戸程度あること、総務省の住宅・土地統計調査によると耐震化工事が1年に450戸程度あることで年換算では1ポイント強の耐震化率の押し上げ効果があること、国の世帯数の将来推計から住宅総数の減少が見込まれることなどを考慮し、有識者懇談会の議論等も踏まえ、2025年の住宅耐震化率の目標を平成25年の耐震化率72%から12年間で18ポイントの増となる90%に設定したものでございます。県では、耐震化目標90%の達成を確実にするため、さまざまな施策を展開しておるところでございます。  御提案の市町村ごとの耐震化率の目標値等の設定につきましては、耐震改修促進法において、市町村が県計画に基づき、市町村の耐震改修促進計画で定めるよう努めるものとされております。いわゆる努力義務となっておりますが、本県では、全市町村が耐震改修促進計画を定め、耐震化目標の設定を行ってきております。  なお、現在、改定作業中や未改定の市町村もありますことから、県としましては、今後ともこれらの市町村に対し、耐震化率の目標設定など、計画の改定について助言してまいりたいと考えております。
    94 島村委員 耐震化率が富山県は低いということを踏まえてのお話でございましたが、私、やっぱり国のしっかりとした方針を踏まえて、95%を目指すべきではないかと考えております。  次に、耐震改修促進計画における住宅、建築物の耐震化の促進を図るための施策についてお伺いをいたします。  これは県民にとってもっとわかりやすい実効性のある内容に工夫すべきではないでしょうか。例えば、取り組みの基本としては、住宅・建築物の所有者の役割、県市町村の役割を簡明に記し、関係者が協力して耐震化の促進を図ることを計画に明記したり、リフォームに合わせた耐震改修の促進について項を設けて、具体的な支援内容や建築業界との連携などがより推進されるような内容に工夫すべきではないでしょうか。この点について土木部長の所見を伺います。 95 水口土木部長 富山県耐震改修促進計画では、耐震化の取り組み基本方針として、住宅、建築物の所有者等は、防災対策をみずからの課題として自発的かつ積極的に取り組むこと、県、市町村は、所有者等が耐震化を実施しやすい環境整備や施策の展開に努めるもの、建築関係団体は、耐震技術者の確保のための技術的な支援に努め、行政と連携し情報提供等を実施し、耐震化の促進に努めるものと定めております。  また、リフォームにあわせた耐震改修の促進につきましては、項を設け、建築関係団体と連携したリフォーム相談会等での耐震化手法の周知やリフォームとあわせた耐震改修への誘導を定めております。  県では、これまでこの計画に基づき、耐震診断や耐震改修の支援制度を設けますとともに、耐震化リーフレットの新聞折り込みや防災士会と連携した防災講座の実施、住宅耐震化フォーラムの開催、工事費の負担軽減を図ることができる技術者向け耐震化低コスト工法の講習会の充実など、さまざまな施策に積極的に取り組んできたところであります。  また、今月下旬には、建築関係団体とのネットワーク組織であるとやま住まいとまちづくり推進懇話会において、支援制度の拡充等について周知を図ることとしております。  委員御指摘のとおり、耐震化の促進を図るためには、県民にとってわかりやすく、実効性のある施策を実施していくことが重要であります。県としましては、今後とも市町村や建築関係団体等とも連携し、住宅の耐震化の必要性や具体的な支援施策の内容などについて丁寧な周知に努め、また、施策の内容にも工夫しながら住宅の耐震化の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 96 島村委員 この項の2点目に、木造住宅耐震改修支援事業についてお伺いをいたします。  このたび平成31年度予算においても、国の新たな支援制度も活用し、木造住宅耐震改修支援事業の拡充が方針として打ち出されております。その内容について土木部長から御説明をお願いいたします。 97 水口土木部長 木造住宅耐震改修支援事業につきましては、県と市町村が連携し、平成17年度から木造住宅の耐震改修工事費用の3分の2、最大60万円を補助してきております。また、住宅全体の改修だけでなく、1階のみ、または1階の主要居室のみの部分改修も対象にするなど、全国的にもトップクラスの手厚い支援となるよう配慮してまいりました。  ただ、近年、大規模な地震が相次ぎ、全国では多くの住宅に被害が発生しておりますことから、県では市町村とも協議し、国が創設した耐震化に係る総合的支援メニューも活用し、新年度から木造住宅耐震改修支援事業を拡充したいと考えております。  具体的には、現行の補助限度額の60万円を100万円に増額し、補助率も3分の2から8割に引き上げますとともに、新たに住宅全体を耐震基準の7割程度の強度に改修する簡易改修を補助対象に加えることとしております。  この簡易改修につきましては、研究機関によりますと、震度6強程度の地震で大破はするが倒壊はしないということで、生命の危険を回避しつつ、改修費用の負担軽減も図ることができますことから、住宅の耐震化に一層取り組みやすくなるものと考えております。  県としては、今後とも市町村などと連携し、この木造住宅耐震改修支援事業の拡充内容につきまして、県民への周知に努め、住宅の耐震化を一層促進してまいりたいと考えております。 98 島村委員 この耐震改修支援事業を推進するに当たりまして、耐震化される住宅の規模はさまざまでございますけれども、補助制度の策定に当たり、平均的な耐震改修工事に必要な工事費をどのように見積もり、この支援制度を設計されたのか、見解をお示し願いたいと思います。  支援額と工事費にあまりに大きな乖離があった場合は、なかなか改修に踏み切れないことも想定をされますので、そういう意味での工夫も必要ではないかと思いますが、土木部長の所見をお伺いいたします。 99 水口土木部長 今回の木造住宅耐震改修支援事業の拡充につきましては、補助対象上限額が125万円、補助上限額がその8割の100万円とされている国の住宅耐震化に係る総合的支援メニューを活用することとしております。この考え方は、国によりますと、耐震改修工事が150万円から200万円程度で行われることが多いことを踏まえ、かつ工事費用を低コスト化するインセンティブが働くように制度設計されたものと聞いております。  近年の県内での耐震改修支援事業の補助実績を見ますと、最も実績が多いのは、建物全体の構造評点を1.0以上にする全体改修でありまして、その平均の床面積は175平方メートル程度で、工事費が250万円程度となっております。このほか、1階のみを耐震化する部分改修では、工事費は220万円程度、主要居室のみを標準の1.5倍に耐震化する部分改修では、工事費は140万円程度となっております。また、今回新たに補助対象に追加した住宅全体を耐震基準の7割程度に改修いたします簡易改修では、全体改修の半額程度の130万円程度と見込んでおります。  今回拡充した支援の上限額は100万円、補助対象額は125万円でありますことから、今ほどお示しした部分改修や簡易改修の工事費の相当程度を賄えることとなります。  県としましては、低コスト工法の普及も図りながら、県民の皆さんに耐震改修工事を検討していただくよう、周知に努めてまいりたいと考えております。 100 島村委員 実際に耐震改修をした場合、かなりの手出しがまだ必要だという状況だと思います。私は、この間、何回かの質問でもこういう補助は思い切った、それこそ倍にするとか、県民の皆さんが、おお、これは県は本気だなと思えるような、そういう補助内容にすべきだということもこの間申し上げてまいりました。  先般、私は石川県に視察に行かせていただきまして、石川県の耐震改修支援事業の内容をお伺いしてまいりました。  石川県は、平成30年の10月から各市町と連携をしながら、木造住宅の耐震改修支援制度を拡充して、「全国で最も手厚い補助制度として、自己負担なしで耐震改修も可能です。」とのキャッチフレーズで取り組みをしております。  それは、簡単に言いますと非常にわかりやすいんです。国の制度も活用しながら、国が50万円、県が50万円、市町が50万円の150万円を基本的には補助をしていく、という内容にされております。  市町によっては、これにさらに独自に上乗せをして、200万円まで補助しているところもございますけれども、石川県は隣県でありますが、思い切った補助制度に取り組んでおります。  これは、やっぱり能登半島における地震が非常に大きな教訓として、何とかしようというその思いもあって、こういう思い切った取り組みがなされているということでございました。  石川県の地方紙の報道、新聞も見てまいりましたけれども、耐震助成が始まってこれまでの4倍のペースで活用をされているという報道記事も見させていただきました。  こうした石川県の取り組みを本県としてはどのように評価をしているのか、また、本県においてもし同様の事業を実施した場合、どの程度の予算額になるのか、土木部長の所見を伺います。 101 水口土木部長 ただいま御紹介いただきました石川県の住宅耐震改修支援事業でございますが、市町と連携した定額150万円の補助制度で、補助対象となる耐震改修は、住宅全体のほか、段階的な改修として1階のみの部分改修、住宅全体を耐震基準の7割とする簡易改修となっております。  石川県の制度では、金額面では全国で最も大きいという一方、対象につきましては、住宅全体と段階的な改修の両方を対象としているのが全19の市町のうち7市町であり、残りの12市町は、住宅全体の改修のみを対象としているということでございます。  一方、本県の制度は、国の基準どおりの補助上限額100万円となっておりますが、石川県とは異なり、市町村に対し新年度からの導入に向けて事業を丁寧に説明した結果、全ての市町村が県と足並みをそろえ、同様の制度を予定していること、また、主要居室のみを標準の1.5倍とする耐震改修も補助対象としていることが特徴でありまして、県民にとってわかりやすく、取り組みやすい制度となったのではないかと思っておるところであります。  新年度予算では、補助限度額を100万円とし、年間100件分の所要額として、県では5,000万円を計上しておりますが、石川県と同様、補助限度額を一気に150万円に引き上げることにつきましては、これまで60万円を限度額として住宅の耐震化を行った県民とのバランスの面でいかがかなという懸念がありますこと、また、その場合、県と市町村を合わせて単独費で5,000万円の増額が必要となり、特に市町村における予算措置に課題があるのではないかと考えておるところでございます。  県としましては、新年度から市町村と足並みをそろえた形で、まずは国の補助基準どおりに支援制度を拡充し、県民の皆さんへの普及啓発に努め、住宅の耐震化が一層進みますよう、積極的に取り組んでまいります。 102 島村委員 県だけでやっているわけではないので、市町村の皆さんと十分に意思疎通した上でないとなかなかできないというのはもちろんよく理解をしております。しかし、先ほど石川県の例を申し上げましたが、非常にわかりやすいんですね。国50万円、県50万円、市町50万円、そして、場合によっては持ち主の方も50万円。そうやって耐震化をしっかりやりましょうということでありまして、このことをぜひ参考に今後の検討にしていただきたいと思います。  本当を言うと、この質問は知事にしたほうがよかったのではないかという思いもあるんですけど、知事は全国トップクラスが大好きな方でございますので、ぜひ耐震化支援でもこのトップクラスの補助制度をしっかり実現していただきたい、こういう要望をしておきたいと思います。  石川県に負けておってはだめでしょう、やっぱり。そういう意味では、おくれをとらないようにしっかり知事にエールを送りまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 103 筱岡副委員長 島村委員の質疑は以上で終了いたしました。        宮本光明委員の質疑及び答弁 104 筱岡副委員長 宮本委員。あなたの持ち時間は60分であります。 105 宮本委員 どうも御苦労さまでございます。  今定例会におきまして、「富山県中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例」を県議会の総意のもとに提出させていただいております。  幾つものことを提案理由の中で述べさせていただいておりますけれども、そのもととなるものとして、県民や俗にいう自治会、町内会などいろんな組織がある中で、県民の皆さん方の努力、また協力をいただきながら県政の運営、施策の推進という意味で、やはり持続可能ということが、これからの県政や社会にとって非常に重要だという思いを持っております。条例案は特に中山間地域のことに特化しておるわけでありますが、今回の質問の中では、少し幅広く、また身近な課題を踏まえながら、こうした持続可能な地域社会をどうつくっていくのかということについて質問をさせていただきたいと思っています。  社会の成熟とともに、県民の要望もどんどん変わってくるわけであり、また県政の運営方針、制度などいろんなものがやはり変わってきておると思います。その中で、身近な県政課題、住民の課題について行政が手厚く対応をしていくという部分、逆に一方では、県民の行政に対する依存度が非常に高くなってきておるのが今の状況ではないかと感じております。  しかし、冒頭申し上げましたとおり、やはり人口減少や長寿社会を見据えて、県民や住民自治の力を発揮していただく、生かした地域社会づくりを目指していきたいという思いであります。  そこでまず、環境問題について何点か御質問をいたしますけれども、地球規模の温暖化やそのことで起因すると言われる我が国での台風の多発や、観測史上初となる豪雨等が多発するとともに、世界的にも大変な気候変動が起きておると認識をしております。  もちろん、こうした地球規模での気象変動や温暖化への対応は、各国の思惑もあり決して迅速な対応がとられているとは思えないわけでありますが、それでも大きく捉えた環境問題に世界、国レベルで抜本的な取り組みをしていくという期待を持ちながら、自分たちの身近なところで、どのようにこれに対する取り組みを明確に行っていくのかということや、一人一人が意識をどう持つのかということが非常に重要な時代になっておると感じております。  県においても、循環型社会と低炭素社会の推進、富山物質循環フレームワークの実現に向けた資源効率性、3Rの推進や、地球温暖化対策、再生可能エネルギーの導入、また水素社会の実現など、環境問題に積極的に取り組んでおられるわけであります。  そこで、今回は、その取り組みが一層県民運動として展開が広がっていくようにするために、という思いで質問をさせていただきます。  まず、持続可能な成長には、大量生産、大量廃棄という経済モデルから脱却し、資源を繰り返し使い、廃棄物を削減する循環を基調とする社会づくりが必要であると考えます。  ヨーロッパでは、環境への負荷を減らすだけでなく、経済成長も同時に実現しようというサーキュラー・エコノミーが主流となっておるわけであります。  本県でも、この視点を盛り込んだ方策にいち早く今後も取り組んでいく必要があると考えますが、特に、こうした環境問題に対して、新年度に盛り込んだ目玉事業も含めてどのように取り組むのか、知事にお伺いをいたします。 106 石井知事 委員から御紹介いただきましたサーキュラー・エコノミーは、廃棄物の抑制による環境負荷の低減と、資源の循環による価値や雇用の発生という経済成長の両立を目指す考え方でありまして、3年前に開催されたG7富山環境大臣会合において採択された富山物質循環フレームワークの中にも、この考え方が盛り込まれております。  本県では、これまで県単位でのレジ袋の無料配布廃止や、資源回収、リサイクルを推進するとやまエコ・ストア制度の創設、小型家電のリサイクル等、全国に先駆けていろんな取り組みを進めてまいりましたけれども、さらに新年度からは、食品ロス削減に向けた商慣習の見直し、民間事業者の方々が設置する資源物の回収拠点の認定による資源回収の促進、また、食品残渣を家畜飼料として活用するエコフィードの流通モデル実証事業など、3Rの推進と県内の企業、事業者の発展を両立する取り組みを強化、拡大することにしております。  また、あわせまして、富山市蓮町にある旧職員住宅をシェアハウスやコワーキングスペース、若者がチャレンジできる場、あるいはUIJターン向けの住居等の整備などの場として再生するプランを生かした取り組みや、先駆的な空き家活用モデル支援事業ということで、空き家を移住者向けの賃貸住宅や企業のサテライトオフィスとして活用するなどの取り組みも進めることにしております。  県としましては、富山物質循環フレームワークの考え方に基づいて、食品ロスや食品廃棄物の削減など3Rの取り組みを進めまして、環境負荷を減らすだけではなく、地域の活性化、移住や起業の促進、経済成長も同時に実現する、委員のおっしゃるサーキュラー・エコノミーのフロントランナーとして県民や事業者の皆さんとともにしっかり取り組んでまいりたいと思います。 107 宮本委員 ただいま知事に御答弁いただいた内容だけでも多岐にわたる取り組みを積極的にしていただいておると思っておりまして、冒頭申し上げたことも含めて、やっぱり県民の皆さん方にそのことを十分理解していただきながら、そこにかかわっていただく、そういった体制を今後どうつくっていくかということも非常に重要だと感じております。  また、プラスチックごみ問題対策では富山県は先進県と私自身も理解をしておりまして、レジ袋削減や海洋ごみ問題に今日までも大変積極的に取り組んできておられるわけであります。やっぱりこうした問題については、今定例会でもさまざま御提案をされておるように、引き続き積極的に推進していくということが大切だろうと思っております。  例えば、大阪府と大阪市はG20首脳会合を見据えて、おおさかプラスチックごみゼロ宣言を発表するなど、他県でもさまざまな取り組みがありますし、一方では、最近は特にコーヒーカップやストロー、シャンプーの容器なども紙でつくるということがどんどん打ち出されて、こうした問題に対する取り組みに、行政もそうでありますが、民間企業もこぞって取り組んでおると感じております。  そのような中、自治体、企業、県民が密接に連携しながら取り組むプラスチックごみ削減に向けた戦略を新たに策定して、県内外にしっかりとPRしていくべきと考えますが、須河部長にお伺いをしたいと思います。 108 須河生活環境文化部長 本県では、今御紹介いただきましたとおり、これまでレジ袋の無料配布廃止や、とやまエコ・ストア制度でのトレーやペットボトル回収などに、県民、事業者、行政が連携して積極的に取り組んでまいりました。  昨年10月、本県で開催されました3R推進全国大会でも、本県のこうした取り組みを県内外に発信してきたところでございます。  一方、国では、マイクロプラスチックなど海洋ごみ問題への世界的な関心が高まる中、本年6月のG20大阪サミットに向けまして、プラスチック資源循環戦略の検討を進めており、今後、レジ袋有料化などの取り組みが強化される見込みとなっております。  御提案のプラスチックごみ削減に向けた県としての新たな戦略の策定につきましては、まず、新年度に予定しております使い捨てプラスチックに関する消費者意識調査やプラスチックごみを含めた廃棄物の実態調査の結果を踏まえ、国の戦略に盛り込まれる施策やこの戦略において求められる自治体の役割とも整合性を図り、プラスチックごみのみに関する戦略を策定するか、あるいは2020年度に改訂を予定しておりますとやま廃棄物プランの中に盛り込むかなど、今後検討してまいりたいと考えております。  また、来年度は新たに民間事業者による資源物の回収拠点の認定、PR、コンビニでのマイバッグ利用促進などを実施することとしており、今後も歩みをとめることなく、全国のモデルとなる取り組みを進めるとともに、本年開催されます世界で最も美しい湾クラブ世界総会などの機会に県内外へPRしてまいりたいと考えております。 109 宮本委員 今御答弁いただいた内容のとおり、ぜひ県民に見える形で積極的に引き続き進めていただければと思っております。  私も小さい集落の区長をしておりまして、ごみの日にはごみステーションへ行って、一応戸を開けて、かごを出したりしておりますけれども、住民の皆さん、やっぱり私が思う以上にきちっといろいろな食品のプラスチック製品などをしっかりと分別されたり洗浄されたりして出されておるなというのを常々見せていただいて、全体の意識としてはもちろん高いんだろうと思っていますけれども、これから全体的に世の中がどんどんそういう動きになっていく中で、一層推進できるように御期待申し上げたいと思っております。  また、持続可能、環境ということに関して、3月5日、海老議員の一般質問の中で、食品ロス、食品廃棄物の削減のためのエコフィードについての御質問もありました。知事はそのとき、流通における3分の1ルールなどの商習慣の見直しをやっていく、そのために商習慣の検討専門部会を設置していくというようなさまざまな御提案や考え方を御答弁されていました。  非常に重要なことだなと思っておるわけでありますけれども、海老議員の質問の中でも事細かく話があったように、食品ロスについては事業系の廃棄物もそうですが、やっぱり家庭系の廃棄物も大変多いということも含めて、私どもでいろいろと雑談を含めて議論をすることがありました。昔は料亭でも余ったら妻に持っていくと言って、タッパーに入れて持って帰らせてもらったというような話もしておりましたが、今は食中毒などを考えると、自己責任だけでは済まない世の中であって、なかなかできないということや、冷蔵庫の中の話にしても、私の祖母が健在なころは、温めれば大丈夫のようなことを言って、賞味期限切れのものも食べさせられたものの、今でも健康で元気におりますが、そんなことも言っていられない世の中になってきたことを考えると、やっぱりこの問題は非常に大きく、総合的に取り組んでいかなくてはいけないと思っております。  その中で、いろいろ事業展開をされることは認識しておりますが、例えばノーレジ袋県民大運動、みんなできれいにせんまいけ大作戦は非常にインパクトがありますが、食品ロスの取り組みについては、若干県民に対する見える化というか、イメージ感がどうなのかなと少し感じるわけです。同僚議員が、食品ロスの30何だったかな、20だったかな、10だったかなと言っておるくらいで、まだ3015運動はぴんときていないということでした。やっぱり今後、県民等の自主的、自発的な取り組みが必要不可欠だということで、食品ロス、食品廃棄物対策における商習慣の見直しを含めて、県民運動として一層盛り上げていくべきだと考えておりますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 110 石井知事 県としましては、食品ロスのさらなる発生抑制のために、食品流通段階におけるいわゆる3分の1ルールなどの商慣習の見直しに向けまして、県民会議のもとで食品関連事業者の方や学識経験者、また消費者団体等の皆さんによる商慣習検討専門部会を設置いたしております。  この部会では、飲料と賞味期限180日以上のお菓子、この2つをまず対象にして、納品期限をこれまでは製造日から3分の1までの期間内となっておりましたのを2分の1に緩和する方向で検討が進められておりまして、こうした取り組みは、県レベルでは全国初めてだと聞いております。  最初は、正直言うと事業者の方々から本当に協力が得られるかなと、少し懸念も持っておりましたけれども、事業者の方、消費者団体の皆さん方から、こうした取り組みは他県に例がなくてぜひ進めてほしい、また消費者の高い鮮度志向をこの機会に変えていくべきではないかと──スーパーの陳列棚でも、前のほうにあるのでもあと1日は大丈夫なんだけど、わざわざ3日後ぐらいまでのものを持っていくようなことを少し変えてはどうかと。また、対外的なアピールをしっかりやっていくべきなど、やるということを前提に前向きな御意見をいただいておりまして、大変ありがたいと思っております。  このため、今後、事業者や消費者、行政が一体となりまして、対外的に強くアピールする機会が設けられないかと──レジ袋を無料配布廃止のときは随分と大きな県民運動になりました。そういうことも今委員のおっしゃるとおりでありますから、検討して進めております。  例えば、商慣習の見直しというのは相当大きなことで、全国的には初めてになりますから、これに取り組むことを専門部会メンバーや県民会議の皆さんが対外的に宣言するような場を設けるような、努力をしていきたいと思います。  新年度には、商慣習の見直しに取り組む事業者の方々の募集や登録、また、取り組み事例等を紹介いたしますフォーラムの開催とともに、消費者の方々の理解を深める観点からスーパー等の買い物かごを利用した消費者への啓発運動や、スーパーなどで賞味期限が近い商品の優先的な購入を呼びかけるキャンペーンなども、例えばショッピングモールなどでやりまして、日程が合えば消費者代表の皆さんとともに、私も参加して、いろんな皆さんにアピールしていきたいと思います。  今後とも、自主的、自発的な取り組みが進みますように、県民会議を中心に機運の醸成に努めまして、県民総参加の運動をしっかりと展開いたしますとともに、委員のように大変環境意識の高い方にも御協力賜りまして、本県の先進的な取り組みを全国に発信して、広く波及していきたい。ちょうど7月に全国知事会議などもございますし、そういった場や、世界で最も美しい湾クラブ世界総会など、いろいろアピールする場がありますので、有効活用をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。 111 宮本委員 私の場合は環境意識が高いというよりも、環境のいいところに住んでいるというのが自慢であります。  冗談はさておいて、今御答弁いただいたように、特にレジ袋の問題だったら幾つの企業が参画してくれて、というように成果や効果が見えてくるわけですが、食品ロス、商習慣云々ということになると、なかなか簡単に県民全体にそういう運動が巻き起こっておる成果は見えにくい部分があるのかなという懸念もありますので、今御答弁いただいたことを含めて、引き続き積極的に取り組んでいただければと思っております。  次に、同じく持続可能な地域社会の形成の、住民自治の中で抱える問題について、何点か御質問したいと思います。  後ほど細かい事例や取り組みなども御報告をしながら御質問したいと思いますが、総体的な話として、人口、特に中山間地域あたりの人口減少や高齢化というようなことを踏まえたときに、どうも、さまざまな申請の資料やその添付書類等々が物すごく多いケースがあります。事業主体が実質的に同じ自治会等でやるにしてでも、その補助メニューごとに別の組織をつくって事業主体として設立する必要が出てくることもあって、なかなか1回でまとめてやりたいと思っていてでも、ソフト事業とハード事業の組み合わせや、今ほど申し上げたような状況もあり、煩雑という意識が物すごく強いと私は全体を見渡して感じています。  こうした補助制度などをもっと活用しやすくする必要性を考えたときに、例えば申請書類の簡素化や事業主体の要件を現実に即したものにすることが、今後非常に重要なのではないかなと感じております。これは全庁的に取り組んでいく必要があると思っておりますが、滝部長の見解をお聞きしたいと思います。 112 滝経営管理部長 人口減少、少子高齢化、厳しい財政状況の中で、限られた人員、財源で多様化する県民ニーズに対応してまいりますためには、県が行う事業につきましても、可能なものはできるだけ住民の方々や自治会など、地元のことを最も熟知されている方々に御協力、参画いただくことが、結果として最も地元のニーズにも応じた質の高く効率的な行政サービスの提供につながると考えております。  そのための環境整備の一環といたしまして、これまでも行政手続におきます添付書類の簡素化、申請様式や記載例の公表など、できるだけ事務負担を軽減する策にも取り組んできたところでございます。  一方で、国の補助金を例にとりますと、補助金適正化法等に基づいて、補助金交付要綱による厳格な手続を求められる事例が数多くございます。これは、不正行為を防止し、また補助事業の確実な実施を図る観点から申請者の事務遂行能力を確認する必要最低限の書類審査ということでございまして、やむを得ない側面もあるわけでございますが、現在国におきましては、マイナンバーカードの利活用とあわせてICTを活用し、行政手続について住民等の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化を図る法改正に向けた動きがございます。  県としては、こうした動きもよく見ながら、例えば県単独事業の補助要件、申請手続等について、現場の実態に応じてより簡素化を図ることができないかと、そういう問題意識を持ちまして、全庁的に補助金の所管課、あるいは市町村ともよく御相談をして、できるだけ多くの方々、地元の方々と協働して事業を行うことができるように努めてまいりたいと考えております。 113 宮本委員 非常に重要なことだと思っていまして、この後何点か質問する中にも絡んでまいります。当然今部長がおっしゃったとおり、皆さんが正しく、正確な申請書や報告書を提出していただければいいわけですけれども、なかなかそうではない部分があるとしたら、貴重な税金をどう正当に使っていくのかという意味では、やむを得ない部分ではありますが、ぜひそういったことについても行革、全庁的に御検討いただければと思っています。  そんな中で、身近な話として住民の皆さん方がよく私のところにもおいでになって、「いや、宮本さん、県道の側溝が土砂でちょっと埋まったままで」や「草が生えてきたんだけど、いつ刈ってもらえるの」といったお話。また、民有地の木でありますが、県道にオーバーハングしたような状態になっていて、例えば「雪が降って折れたら危ないな」や「葉っぱが落ちて滑るので大変だ」という話を結構聞くわけです。もちろん土木部の皆さん方には交通の支障にならないようにということで、大体のことについては早急な対策をとっていただいておるわけですけれども、いつもいつも言われてからやるというのではなくて、もう少し住民の皆さん方に積極的にかかわってもらう取り組みができないのかなと思って、少し調べさせていただくと、大きいもので舗装の補修、施設修繕から、路面清掃、草刈り、側溝や暗渠の清掃まで、業者へ工事発注、委託されておるわけです。  一方では、予算規模は平均400万円程度とお聞きしましたけれども、幾つか住民の皆さん方の要望箇所について、地元自治会へ委託して実施しているということ、昔からよく聞きましたが、道路愛護ボランティア制度に基づいて、軽微なものや花植えに取り組んでいただいておると思うわけです。  一時期どんどん道路整備を進めていただいて、状況はよくなったんですが、今は逆に集落や民家が少なくなり、通る車が減った道路なども中山間地域の中には結構多くあるわけであります。  そこで、県管理道路の軽微な維持管理や、川の中に木が倒れ込んでいて、このままにしておいたら農業用水の取水に影響を及ぼすものについて、住民の皆さん方に撤去していただく。先ほど申し上げた道路側溝がよく詰まる場所では、例えば住民の皆さん方に小さいマイクロショベルのような物を貸し出して、自主的にやっていただく。そのときの経費や保険料は例えば県が補助して、何とか地元で対応していただけないかいうことをもう少し進めていくことによって、相当住民の要望に応えていける部分があるんじゃないかなと思います。  集落全体が高齢化して、それもできないという話も中には聞こえますが、まだまだ主体的に自分たちの地域は自分たちできれいにしていこう、維持管理していこうという意欲は皆さんお持ちだと思っているので、地元自治会にもう少し幅広く委託等ができないかということについて、土木部長にお伺いしたいと思います。 114 水口土木部長 県が管理します道路や河川の維持管理につきましては、主に民間企業への委託により実施をしておりますが、地元の自治会などの協力が得られる場合には、報償費をお支払いし、道路の路肩や河川の堤防などの除草を行っていただいております。  また、歩道や河川の清掃、あるいは植樹ますの草むしりなどを地域の美化活動の中で実施していただいているものもありまして、御紹介いただきましたように富山県道路愛護ボランティア制度や、ふるさとリバーボランティア支援制度といった県のボランティア制度を活用した場合には、活動の経費の一部を助成するなど、支援させていただいております。  道路や河川では施設の老朽化に伴いまして、維持管理費用の増加が見込まれますことから、委員御提案のとおり、今後地元自治会による協力が一層必要になってくる、大事なことであると考えております。  御提案の例えば小型のショベルを使った道路や河川の土砂上げ、除草や伐木等の作業には、危険が伴うケースもありますことから、地元自治会の御協力をいただいていくためには、作業の安全確保や負担軽減が必要と考えておりまして、今後地元のニーズも踏まえ、支援の方策、例えば委員からありました保険の加入などの方策につきまして検討してまいりたいと考えております。 115 宮本委員 地元には建設産業に従事して免許を持っている年配の方や、森林組合に勤めてチェーンソーの扱いになれているようないろんな方がおられます。やみくもに機械を貸してあげるからどうぞといっても、やっぱり危険が伴うわけなので、当然免許の所持といったようなことがあると思います。  しかし、一番大切なことは、県独自で全てを賄えない状況になっていくのであれば、その地域を、自分たちの地域を少し自治会でやっていこうと。最低限のことは県で面倒見ながらでも、自分たちで取り組んでいこうという人たちを育てたり、見つけたりということがやはりこれから大切なんじゃないかなという思いで申し上げさせていただきましたので、ぜひ積極的に進めていただければと思っています。
     もう一つ関連の話をすると、お調べいただいた中で、県が窓口となって、町内会や集落に補助事業として行っているものは多くあるわけでありますが、今手元にあるだけでも7部局9室課、例えば地域防災力向上支援事業、青色パトロール活動支援事業、地域コミュニティ活性化促進事業、農水の場合の多面的機能支払支援事業はちょっと規模の違うものですが、先ほどの土木部の話でいくと、景観づくり事業費補助金、地域ぐるみ空き家対策モデル地区支援事業など、たくさんのメニューがありました。  非常にたくさんあるんだなと思いながらも、皆さん本当に知っておるのかなという思いが実はありまして、何人かの自治会長さんに実は聞いてみて、「あなたのところ、県の制度を利用してで何か事業をやっているのか」と聞くと、「歩道の除雪か何かをやっていたかな」などその程度でありまして、なかなか必要性を感じた人でないと探し当てられないというところや、全体としていいメニューがありながらも、なかなか地域の皆さん方に御理解していただいていないところもあるんじゃないかなと思っています。  このことは地域の中でいろんな対策、対応をとっていくときにも極めて重要なことだと思っているわけでありまして、地域住民や自治会の力を先ほどから言うようにもっと発揮してもらうという意味も含めて、すばらしい事業、補助メニュー等々をもっと広く県民に周知していくということが大事だと思いますし、やっぱり事業を積極的に活用して地域の皆さん方の力をかりていくべきと思っておりまして、県として新たな行政改革の形として取り組んでいくべきと考えますが、滝部長にお聞きします。 116 滝経営管理部長 県といたしましては、地域社会の維持発展のためには、やはり自治会等によります共助の力をおかりして必要なサービスを提供することが重要だと考えております。  今ほど委員からも御紹介がございましたとおり、例えば、防災や防犯、まちづくりといったさまざまな分野で県におきましても自治会に活用いただける補助制度を設けております。  県の制度につきましては、一般的には市町村に窓口になっていただいていることが多いわけでございますけれども、例えば滑川市さんを例にとりますと、市のホームページで利用可能な補助制度が一覧できるメニューを掲載していると、こういう例もございます。  県といたしましても、補助制度のわかりやすい周知についてはさらに工夫をしてまいりたいと考えております。  また、自治会等でいろいろと事業をしていただくという意味では、やはりリーダー的な存在が非常に重要であると思っております。  ただ、県が昨年実施しましたアンケート調査によりますと、特に中山間地域の集落の将来のリーダー候補の有無については、候補がいるという回答は50%にとどまっているということもございます。  南砺市さんでは、自治会等の自主性、自立性を高めるための1つの方策として、小規模多機能自治といった新たな取り組みを始められていると承知していますが、こういった取り組みも参考にしつつ、基本的な地域社会の維持発展は、市町村においても重要な課題でありますが、県としても市町村と十分連携して、地域の住民の方々、自治会等の力をおかりして今後の県の施策も推進してまいりたいと考えております。 117 宮本委員 今御答弁にもありましたし、先ほどから3点ぐらいこのような話をさせていただきましたが、やはり総体的に人手不足や高齢化という問題を特に中山間地域は多く抱えておりますし、都市部でも当然そのような現状がある中で、いろいろな地域住民の皆さん方の力をかりながら、また新たな補助メニュー等を創設してやっていこうとすると、最初に申し上げたように、その都度新しく事業主体をつくっていかなくてはいけない、同じ人が幾つもの役をやるというようなことが相当負担になっていると思います。  そこで、提案しております条例の中には、こうした問題を1つ解決する流れとして、中山間地域振興対策の一環としての新たな交付金制度の創設を実は盛り込んでおるわけであります。  このことについては、当然ハードルが高いと理解はしておりますが、今申し上げた現状も含めて、知事の所見をお伺いしたいと思っております。 118 石井知事 中山間地域の課題、後継者の育成確保や地域交通の維持など、いろんな課題があるわけですが、いずれにしても市町村や地元住民の皆さんとの連携、協働が大事だと思っております。  そこで、新年度予算案において、地域の課題を住民の皆さんみずからが話し合いの機会を創出するために、集落をサポートする専門員、地域コンシェルジュを1名配置するというようなことも考えております。  また、住民の方が地域の将来像を検討するためのワークショップ等の開催に係る経費への支援、地域のさまざまな資源を活用して新たな特産品開発をされる場合の支援や発掘、あわせて、県の広域的な支援として、地域のサポート人材育成のための研修の実施等々、かなり幅広く支援策を講ずることにしております。  また、新年度においても、職員が積極的に中山間地域の各集落に出向いて、地域のニーズを酌み取りながら、それぞれの集落の事情に沿った丁寧な支援に努めていきたいと思います。  お話しいただきました交付金化につきましては、今後よく検討してみたいと思いますが、交付金化しても、地域の集落単位で必要な事業はいずれにしても責任を持って実施、運営していただく必要もありますので、やり方もいろいろありますが、各集落の負担が何かすごく軽くなるということには必ずしもつながらない可能性が高いことと、また集落ごとにどのような基準で交付金を配分することが合理的かという点がなかなか難しくて、相当な工夫が要るのではないかと。  また、中山間地域振興のためにできるだけ持続的なものにしていくには、極力国から支援を引き出したいわけです。国の補助金、交付金等もうまく活用できる、持続を図りやすい仕組みとする必要があるので、使い道が何でもよいということになると、国のお金を引き出しにくいということもございます。  また、地元の基礎的自治体である市町村と役割分担を含めて十分な協議をすること、等の課題もございますので、正直、いろいろ考えてみようと思っていますけれども、制度化にはいろんな困難が伴うんじゃないかと思います。  県としましては、各集落の個別事情や事務負担の軽減に十分留意しながら、ある程度政策目的を絞った形で、極力市町村と連携して、個別の政策や一定範囲のメニューをそろえてその分野ごとに支援するなど、できるだけ今言ったような課題をうまくクリアできるような、現実的な方策を考えていきたいなと思っていまして、いずれにしても、現場の実情を丁寧に酌み取らせていただいて、できるだけ効果的な、なるほどこういうものができてよくなったなというようなことになりますように、努力してまいりたいと思います。 119 宮本委員 この後の質問にもつながるかもしれませんが、イメージ感としたら知事から御答弁いただいたように、例えばコンシェルジュの配置、ワークショップの実施、サポートセンターの開設などをしながら、地域の皆さん方が何に今困っていて、何にお金があれば住民の生活が助かっていくのかという、この積み上げをしていくことによって事業メニューが決まっていくと。それに活用できる交付金や新しい補助事業をつくってください、ではなくて、そこに使える交付金的なものがあるというイメージ感になっていくと、非常に地域の主体性が生まれてくるのかなと思っていまして、知事の手腕に期待をしておるわけであります。  そんな中で、いち早く条例案も踏まえながら、総合政策局に地域振興・中山間対策室を設けていただき、地域振興というのは、今申し上げた中山間地域だけではなくて、富山県の地域の振興という意味合いと十分理解をしておりますが、あえて今回、中山間地域対策課の設置を提案いただいており、私どもも内容についていろいろとお願いをしておる部分がありますけれども、知事に、組織改正の狙いと期待される効果についてお尋ねをしたいと思います。 120 石井知事 中山間地域につきましては、人口減少に伴う過疎化や高齢化が進行する中で、集落生活の機能の持続が課題となっておりまして、昨年夏の全集落調査結果からも、8割以上の集落の代表者の方が20年後には集落が衰退していくと感じていらっしゃるほか、後継者の育成確保や地域交通の確保など、多様で幅広い意見やニーズがあることを実感いたしました。  中山間対策は、まさに喫緊の課題であり、県としても迅速な体制整備が必要と考えまして、このたび機構改革でお話しのように、総合政策局に地域振興・中山間対策室を新設して、そのもとに観光・交通・地域振興局から地域振興課を移管、再編して地域振興課と中山間地域対策課を置いて、中山間地域対策を強化し、人員増も図っております。  総合政策局に持ってきましたのも、中山間地域対策は、やはり各部局を横断的に、全庁的に対応すべき課題だということを明確に示したつもりでおります。  今回の見直しによりまして、これまで以上に総合的かつ部局横断的な振興策を展開できる。また、都市部を含めて全県的に地域振興を担う地域振興課と同じ室にまとめ、相互に連携協力することで、中山間地域の振興に向けた効果的な取り組みが期待できる──中山間地域対策をきちんとやるためにも、都市部にある、例えば医療や保健や福祉などの拠点と中山間地域の小さな拠点をうまくネットワークでつなぐ、当然そこにまた地域交通や公共交通の充実を図るなど、どうしても中山間地域の課題解決には都市部の地域振興と密接に関連する面もありますから、こういった形がいいのではないかと思っております。  さらに、中山間地域対策課に地域人材育成担当を配置して、地域おこし協力隊を初め、地域の活性化を担っていただいている多様で有為な人材の育成確保に積極的に取り組むことで、やっぱり人が財産ですから、中山間地域のさらなる活性化や地域間交流の一層の拡大が期待できるのではないかと思っております。  また、移住・UIJターン促進課と同じ局にすることで、相互に連携して、今回画期的な支援金制度も国につくっていただきましたので、東京など首都圏方面、あるいは他の大都市圏から、中山間地域へのさらなる移住促進も図って、急速に進展する中山間地域の人口減少に対しても一定の効果が期待できるんじゃないかと思っております。  県としましては、今議会で提案いただいた条例の趣旨をしっかりと踏まえまして、市町村やNPO、民間事業者の方々との連携、協働にも十分留意して、5GやICT等の利活用も含めて、観光や農業、あるいは地域交通対策、子育て支援・少子化対策、地域医療や福祉の確保充実など、いろんな観点を含めて総合的な中山間地域対策に積極的に取り組んでまいります。 121 宮本委員 大変積極的に取り組んでいただけることを大変ありがたいと思っていますし、何とか、ともども成果が上がるように、努めていければと思っております。  先ほどからの、地域コンシェルジュの配置など人的対応のことについて、いろいろと発言等もございますけれども、改めて、地域コンシェルジュの配置や目的、役割について局長にお伺いしたいと思います。 122 猪俣観光・交通・地域振興局長 県では、中山間地域に住まれる方々が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができますよう、昨年夏に実施しました中山間地域集落実態調査の結果や、昨年11月に自民党富山県議会議員会から知事にいただいた提言、そして、今議会に提案いただきました「富山県中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例」等に基づき、地域企画支援員、いわゆる地域コンシェルジュを中山間地域対策課内に配置し、あわせてこの秋ごろまでには、中山間地域に関するワンストップ窓口であります中山間地域サポートセンターを中山間地域対策課内に設置することとしております。  この地域コンシェルジュの活動内容としましては、関係市町と連携し、さらには地域で活躍する地域運営組織や地域おこし協力隊等の多様な担い手と協働しながら実際に集落等に出向いて、地域住民が行う集落の点検、分析、集落のあり方についての話し合い、また集落活性化に向けた取り組みなどを支援することとしております。  どのような人材を想定しているかにつきましては、県や市町との間に入って調整できる方で、中山間地域の皆様に寄り添い、膝詰めで地域の将来について前向きに語り合うことができる社交的な方を確保したいと考えておりまして、秋にも中山間地域対策課内に設置します中山間地域サポートセンターでの中核人材として働いていただきたいと考えております。 123 宮本委員 ありがとうございます。  私は、寄り添いながら明るく溶け込んでいけると思います。  非常に期待しておりますし、私ども提言や条例案の中に書き込んだことでありまして、ともども成果が上がるように、頑張ってまいりたいという思いでいっぱいであります。  次に、今議会でも大変話題になっております5Gのことについてであります。  たくさん、この質問も出ました。内容についてもいろいろありましたので、細かい話はいたしません。  また、いよいよ検討も進めていただくということで、新たな組織づくりも考えていただいていますが、現時点でどのような課題があると認識しておられるのか、滝部長にお伺いしたいと思います。 124 滝経営管理部長 県といたしましては、5Gの利活用に向けまして、有識者、市長会、町村会初め、各分野の関係者に御参画をいただいて、5G×ICTインフラ利活用検討会(仮称)を新年度早々に設置し、5G利活用の戦略策定に向け、課題の整理、今後の方向性等について、本県の地域の実情等も十分に踏まえて検討いただく予定ではございますが、現時点では、大きく2つの課題があると認識しております。  まず、5G利活用の前提条件となります基地局の整備でございます。  国においては、5G用の電波の割り当てについて、地方を含む全国各地で早期に利用を可能にすることを通信事業者に課しておりますが、基地局の整備そのものは事業者に委ねるという方針を示しております。そうなりますと、収益性の高い都市部や市街地を中心に基地局整備が進み、地方や中山間地域は後回しになってしまうのではないかと懸念されるところでございます。  2つ目は、イニシャルコスト、ランニングコストを含め、5Gの利活用に伴う費用負担の問題でございます。  国、県、市町村、通信事業者、関係団体、受益者等々、多くの関係者がかかわる中で、財政負担の考え方の整理が必要であり、あわせて国による相当程度の財政支援が必須であると考えております。 125 宮本委員 財政負担のことについては、最後に知事にお聞きしたいと思いますけれども、私が今、一番課題だと思っておるのは、滝部長がおっしゃったように、我が県として、どういう5Gのモデルをつくって県民生活をよくしたいのかということがまずあるわけです。  そのときに、先ほど知事の御答弁の中にあったように、都市部の問題は中山間地域の問題、中山間地域の問題は都市部の問題と考えたときに、今までのモデル事業というのは、都市部のみのモデル事業、中山間地域のみのモデル事業というイメージが結構あったと思います。やはりこれを今度は楕円形にして、中心市街地の人も、農村部の人も、山間部の人も、5Gによってどのように一緒にやっていけるかを実証しないと意味がないと思っており、そのへんについて、楕円状という言い方をしましたが、どのような考え方で取り組むのかについて、もう一度、滝部長にお伺いします。 126 滝経営管理部長 御指摘のとおり、5Gの利活用は、市街地と中山間地域をつなぐということでその効用も大きくなると思っております。  一方で、5G利活用の前提として基地局の整備が必要でありますが、現行の技術水準では、5Gの基地局1つがカバーできる範囲は半径数百メートルから数十メートル程度と、現行の4Gの基地局の10分の1程度と言われております。したがいまして、整備が必要となる基地局の数は相当な規模に上ると見込まれます。  このため、御提案のように中心部から周辺部まで連続してエリアを拡張するためには、数百メートルごとに5G基地局を設置する必要がございます。  基地局の整備が、基本的に通信事業者に委ねられるとされている現状を踏まえますと、少なくともサービス提供が開始される直後の早い段階から5G基地局が広域で整備されるということは、現実にはなかなか難しいのかもしれないと思っております。  もっとも国におきましては、農地や工業地帯といった5Gの産業への応用展開も見据えて、これまでの人口カバー率という概念にかえまして、非居住地域も含めて事業可能性のある地域をカバーするという考え方で、その50%以上で地域展開の核となる基地局を5年以内に最低1局整備するという方針も示されております。  もっとも5Gの整備を待たずとも、現行のICT技術は日々進歩しておりますので、その活用で解決できる地域課題も一定数あると考えられます。まずは、この県の検討会におきまして、地域課題の整理とあわせて考えたいと思っておりますが、5Gの利活用の方向性については、今後の本県における基地局整備の進捗の見込みも十分に踏まえて検討する必要があると考えております。 127 宮本委員 今心配されておるとおり、ラグビーワールドカップ、また、東京オリ・パラ、大阪万博があって、東京、大阪、福岡が先によくなって、富山へ来るころには情報過疎になって、富山市内が終わって私の住んでおるところへ来るころには、地域には誰もいないというようなことを避けていくためには、楕円で展開していくということが重要ですが、やはり財政の話になります。5Gの基地局整備については、民間主導で行うことから大都市が優先されて、地方は後回しにされることが懸念されます。  そこで、全国知事会とも連携して、国や通信事業者に対し、地域間の偏在性の小さい基地局整備や利活用に対する財政支援の創設等を働きかけるべきと考えておりますが、知事の所見をお伺いいたしたいと思います。 128 石井知事 5Gの利活用は、人口減少、人手不足への対応を急ぐ必要がある中山間地域を含めた地方において、大きな可能性を秘めていると思います。  したがいまして、県としましては、地方創生、中山間地域のさらなる飛躍に向けて、5G、ICTの利活用は重要なテーマの1つと捉えて、鋭意検討を進める方針でございますけれども、今ほど部長からも答弁しましたように、5Gの利活用の前提となる地域間の偏りのない5Gの基地局とその間を結ぶ光ファイバー網の早期の整理、また、国や通信事業者による財政支援等の課題については、本県のみでなく全国共通の課題でもございますから、全国知事会においても議論をして、政府・与党に提言していくことが重要ではないかと思います。  地方もそうですが、国もなかなか厳しい財政事情ですから、普通に構えていますと、今ほどお話があったように、大都市など効率のいいところからまずやるという話になるのは間違いないわけです。  それを何とか乗り越えて、都市と地方が支え合う社会の方式に向けた方策の有力な手段ではないかということで、そうしたことになかなか「うん」と普通言わない財務省を初めとする皆さんをどう説得するかということについて、全国知事会に5G利活用に関するPTを新たに設置するなどして、ちょうどことし7月に本県で全国知事会議が開かれますから、そこで何とか提言をまとめて、政府・与党や通信事業者等に要請してはどうかということを、会長の埼玉県の上田知事を初め、皆さんとも今、協議、調整を始めております。  7月の全国知事会議のテーマとして、地方創生のさらなる発展、飛躍に向けた重要なアプローチの1つとして──ようやく法人関係税の偏在是正や地方大学の振興など、いろいろ成果も出つつありますが──5Gの利活用ということを重要テーマにしまして、できれば富山県から全国に発信するという方向で進めていきたいと考えております。  今後とも、他の都道府県とも十分御相談をして、何とか御賛同いただいて、ひとつ、そういう流れをつくるように、最大限努力してまいりたいと思います。 129 宮本委員 ありがとうございました。終わります。 130 筱岡副委員長 宮本委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時01分休憩                     午後3時15分開議        山辺美嗣委員の質疑及び答弁 131 五十嵐委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  山辺委員。あなたの持ち時間は60分であります。 132 山辺委員 富山県議会は、他の都道府県議会と同様、議長、副議長、議会運営委員長は本会議において質疑を行わないことを慣例としております。  また、予算特別委員会においても、本県は全国の中でも最も早く予算特別委員会を昭和40年代に設けておりまして、知事に御出席をいただいて議員と1対1の討論を行うことができる大変貴重な機会だということで、本会議に準ずる重要な委員会であると規定し、議長、副議長は委員とならないということにしております。  そこで、予算特別委員会におきましても、議長、副議長の本会議の扱いと同様に、議会運営委員会の委員長も、予算特別委員会では委員とはなるけれども質問、質疑をしないことでずっと運営を続けておりました。しかし、私は、所属しております自民党議員会並びに全ての会派から御指名をいただいて、議会運営委員会の委員長を3年も務めることに相なりました。前例のない長さでございまして、今議会で、私も議員を勇退させていただくということになっておりますので、同僚の皆さんの温かい配慮で、この予算特別委員会で質問をさせていただくということになりました。しっかり6期の集大成になるかならないか、甚だ自分では疑問でございますけれども、精いっぱい質問していきたいと思っております。  初めに、オープンイノベーション等についてという表題を掲げさせていただきました。ものづくり富山県は本当に製造業の集積率で全国一、二位をずっと争っております。本県は、新産業都市の指定、またテクノポリスの指定等々、全国でも製造業の集積を基盤にした地域づくりが行われてきた県でございます。  石井知事さんも、本当に就任当初からものづくり富山の競争力を強化したいという思いでたくさんの施策を打ってこられましたが、きょうは、その中で具体的なものとして最近大変注目を浴び、また本県企業も大変頑張っている分野でございます、セルロースナノファイバー──CNFでありますけれども、その研究開発と実用化に向けた動きをお聞きしていきたいと思います。  セルロースは、皆さん、非常に聞きなれた名称であるかと思いますが、植物、木質に由来するセルロースは大変有名ですけれども、同時に、キチン、キトサン、あるいはシルクなど動物由来のセルロースもございまして、自然界にたくさん存在します。  一般的には、やわらかいものという印象を受けるわけでありますが、セルロースは大変強固な分子構造を持っております。C5、C6の環状構造がたくさんございまして、非常に強いものでございます。  ただ、セルロースは紙づくり、パルプづくりに代表されますように、アルカリ溶液に溶解してほぐさないといけないという湿式の製法が中心になっているものですから、これを利用して金属との合成をする、あるいは樹脂と合成していくということが非常に難しかった領域でございます。  セルロース単体は、重量が鉄の5分の1、そして強度が、特に引っ張り強度が鉄の5倍、それから熱膨張率が極めて低い、あるいは比表面積が大変広いなど、材質として非常に魅力にあふれておりますが、そういうセルロースについて、本県の企業は2社、スギノマシンさん、あるいは中越パルプさんが全国の中でも大変進んだ研究をしてきているわけであります。  県の産業技術研究開発センターにおいても、セルロースナノファイバーの製造装置を導入して、大変重点的な研究分野の1つとして取り組んできているところですが、これまでの成果について、まず商工労働部長に伺います。 133 伍嶋商工労働部長 セルロースナノファイバー──いわゆるCNFを活用した研究につきましては、本県では平成26年7月に、文部科学省の地域イノベーション戦略支援プログラムに採択されて、県内ものづくり企業が有しますCNF製造技術をコア技術、基幹の技術と位置づけまして県の産業技術研究開発センターや、あるいは県立大学などにおきまして民間企業等から研究員を招聘して、研究開発に取り組んできたものであります。  この研究プロジェクトに関して、例えば県産業技術研究開発センターでの研究成果としては、まず、水中のCNFの凝集──固まることを防ぐ、そういったCNF製造技術の開発、また、CNFの保水性とアレルギー反応がないといった生体適合性の特徴を生かしたスキンケア素材の開発──スキンケアとして化粧品の乳液などのユーザーカスタム品の対応といった素材の開発や、あるいはCNFの高強度で熱変形が少ない特性を生かしました3Dプリンター用の樹脂の開発などがあります。 134 山辺委員 大変、産学官の共同によりまして研究が進んでいるわけでありますけれども、特に、今御紹介のあった中にもあった本県のスギノマシンさんが、国のNEDOの中堅・中小企業への橋渡し研究開発事業を活用して、富山県立大学の真田教授、永田客員教授のグループとともに──先ほどちょっと課題で述べておりましたが、セルロースナノファイバーは湿式の状態で普通は製造されるものですから、それをドライにした、乾燥したビンフィスドライパウダー、これは商品名ですけれども、開発されております。  このビンフィスドライパウダーというのは、ポリプロピレンと複合化した場合に大変特異な強度特性、通常よりも相当強い引っ張り強度を実現するということで、非常に特殊な強度のある樹脂を製造する技術となっております。そのほかに、今後、塗料や電子材料、化成品、あるいは自動車部材にも適用可能ではないかという期待が持たれております。  初めに伺いますのは、スギノマシンのビンフィスドライパウダー──既に商品化されておりますけれども、この活用事例の研究をどのように支援するのか伺います。 135 伍嶋商工労働部長 委員から御紹介のありましたスギノマシンがNEDOの事業の採択を受けまして、県立大学との共同研究により開発いたしましたビンフィスドライパウダーについては、CNFを乾燥、粉末化したものでありまして、従来の水に分散されたCNFと異なり樹脂と均一にまじる──混合することが可能となることから、例えば塗りやすく強靱な塗料膜や安定した筆記が可能なボールペンインクなど、樹脂の補強材などとして使用をされているものであります。  その効果としては、先ほど委員からも説明がございましたけれども、例えば樹脂中に少量添加することによって樹脂の耐久性が、未添加のものに比較して、大幅に向上するということが確認をされております。  具体的に申し上げますと、樹脂に5%程度添加すると、引っ張りの強度が1.2倍、また弾性率が1.6倍、向上するというものであります。これを活用しますと、例えば板厚を薄くしても、同じ剛性が得られるという特性がございます。  また、ビンフィスドライパウダーの実用化に向けた支援としては、県産業技術研究開発センターにおいて昨年度整備したCNF製品実証・試作拠点におきまして、14の最先端の設備を活用して、例えばCNF複合樹脂製品の試作や、あるいはCNFの樹脂中での混合の均一性をナノレベルで評価する電子顕微鏡──通常は5万倍程度の精度でありますけれども、ここに配置しておりますのは100万倍まで可能なものでございます。こうした電子顕微鏡などによる評価を行うこととしております。  また、産学官によるビンフィスドライパウダーを添加した新たな樹脂製品の技術開発、あるいは製品開発への助成によりまして、実用化を積極的に支援してまいりたいと考えております。 136 山辺委員 今、スギノマシンで試作段階から実用化段階にあるもう一つの開発成果でございますシルクナノファイバー水分散体ですが、これは県産業技術研究開発センターの前進であります工業技術センターの時代からの共同開発品でございます。シルクの特性、保水性等々を保ったままで均一な微細化として存在し続けるということでございまして、そのままでももう化粧品や、あるいは医薬の分野に適用されていくということが大変期待されております。  このシルクナノファイバーの広範な実用化について、どのように支援しているのか伺います。 137 伍嶋商工労働部長 県産業技術研究開発センターとスギノマシンが共同開発しましたシルクナノファイバー水分散体は、従来の薬品を使う製法と異なりまして、同社のウオータージェット──最高で245メガパスカルの超高圧水の技術を応用したナノファイバー化技術を用いて、シルクを効率よく微細化したものでございます。  この製法の特徴といたしましては、機械で繊維をほぐすため薬品が不要であること、また、水を使ってナノファイバー化するため不純物が入らないことから安全性が高いこと──従来は、薬品の使用が不可欠でしたが、不必要となったということでございます。また、高効率で大量生産が可能なことなどが挙げられます。  製造されたシルクナノファイバーは、例えば皮膚などの保湿効果や、あるいは細胞活性化効果、生体への安全性が高いこと、また薄く伸ばして膜を張る──成膜性が高いことなどから化粧品や医薬品への活用が想定されております。  スギノマシンにおかれては、昨年4月から化粧品サンプルを出荷されるなど、市場参入のための取り組みを始めておられまして、その際、県では、展示会出展についても支援をしているところであります。
     シルクナノファイバーの実用化に向けては、先ほども述べましたが、県の産業技術研究開発センターのCNF製品実証・試作拠点におきまして、湿式微粒化装置によりますシルクのナノファイバー化やレオメーター──粘りを評価する機器でありますけれども、こうしたメーターによる粘度の評価を行っていますほか、産学官によるシルクナノファイバーを活用した新製品の技術開発に対する助成などを行うことによりまして、今後ともその実用化に向けて支援をしてまいりたいと考えております。 138 山辺委員 ありがとうございます。  実は細かくお聞きしましたのは、こうした新しい商品を世に送り出す企業の発想力はもとよりでございますけれども、県立大学、そして県の産業技術開発研究センターが大変大きな役割を果たしてきていると、そのほかにもたくさんの分野で大きな成果を上げている、このことを御紹介したかったわけであります。また、引き続き実用化の範囲を広げて、まさに革新的な商品群をつくり出していく、イノベーションを引き起こそうとする県の姿勢についてお聞きしたかったところであります。  そこで、実は、この議会も終わりますと、知事も多分冒頭の御挨拶に行かれるんだと思いますけれども、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムのキックオフシンポジウムが富山国際会議場で3月19日に予定をされておりまして、私も楽しみにしているところでございます。この「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムを築き上げるに当たりまして、実は、全国の誰でもない、本県の誰でもない、石井知事が、実は構想を練り、いろんな仕組みを構築する中心を担っていただいたと私は理解をしております。  これを支援いたします地方大学・地域産業創生事業ができましたきっかけは、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議、これが平成28年度に設置をされます。この平成28年度に有識者会議が設置されたときから、知事は全国知事会を代表してお加わりになっているわけであります。  なぜかといいますと、この地方創生をめぐる課題──東京にいわゆる税が集中している、偏在していること、また東京に大学が偏在していること、そしてその結果、東京に若者が偏在し、地方から有為な人材である若者が吸収されていること、あるいは東京において極めて出生率が低くなっていること等々、地方創生をめぐる人口及び活力の問題が東京の一極集中にあるということも踏まえ、地方にきらりと光る大学を育成し、若者の雇用をつくっていく新しい体制をつくるべきではないかという議論を、この有識者会議で平成29年2月から12月まで、何度もされてきたわけであります。  そこに知事は御参加をされ、そしてスライド等を使いながらいろいろな提言をされてきたということであります。その結果、平成30年6月1日に地方大学・産業創生法が成立し、それに基づく地方大学・地域産業創生事業が創設され、全国からたくさんの公募がある中で、本県の「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムが、全国7つの事業のトップとして採択されたのが、ついこの間、平成30年10月19日のことでございます。  私は、知事がもちろん地方財政問題の中心となって全国知事会と地方財政の充実のために努力されていることはよく存じておりましたが、技術をベースにした地域からの新しいイノベーションを起こす仕組みについて、ここまで全ての制度をまとめ上げて、地方大学・地域産業創生事業に採択されたことに、大変感服をしております。  知事に、この間の経緯について、ぜひお話しをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 139 石井知事 委員から大変過分なお言葉をいただいて恐縮しております。  これまでの経緯ですけれども、工場等制限法が廃止されました平成14年から平成28年まで高校卒業者数は全国で約2割減少しましたが、一方で、その間、東京23区に集まる大学生の数は逆に2割増加している、ますます東京一極集中が進むと、こういう現実を背景としまして、今委員からのお話にありましたように国で「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」をつくっていただいて、全国知事会を代表するような形で私が出席させていただくことになりました。私が出たのだけでも10回ほどあったと思います。  その際に、地方からは北九州市長さんや島根県邑南町長さんも御出席になっていましたけれども、全国知事会とも連携いたしまして、1つには地方大学における先端的な研究開発の促進、それから地域の中核的産業の振興と専門人材の育成確保のための、産学官連携による先駆的な取り組みへ国が高率の財政的支援をすること、もう一つは、地方大学の振興と東京23区の大学定員抑制をセットで立法措置により制度化を図ることが必要だということを強く申し上げました。  この間、東京に本拠のある有力な私立大学の学長さんや経済界でもいろんな御意見もございましたけれども、幸い、平成29年12月に有識者会議の最終報告が出まして、これをベースにして国の概算要求もでき、また法律もでき上がったということでございます。  平成30年度予算で、1つは地方大学・地域産業創生事業、約100億円、補助率はこういう分野では異例ですけれども、補助率4分の3のものもあるというものをつくっていただいたわけでございます。  また、あわせて地方大学・産業創生法も、おかげさまで委員がおっしゃるとおり、昨年6月に成立いたしました。そこで、これはいけそうだということで、昨年3月に、とやま未来創生産学官連携推進会議を立ち上げまして、産学官連携による全国最先端のプロジェクトを何とか立ち上げようということで取り組みました。  その後、国の採択が全国で10件程度しかないということが明確になりましたので、本県からの申請は医薬品分野のプロジェクトに絞ることといたしまして、富山大学、それから県立大学、県内薬業界と連携して、昨年6月に「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムを立ち上げますとともに、国は、法律がどうしても国会審議の関係でおくれまして、実際の採択が昨年の10月に入るということにもなりましたから、サマースクールは国の事業採択を待たずに7月から9月にかけて、東京圏の学生を対象にして実施いたしました。  昨年10月に、正式に採択いただきましたが、その間、何度も各大学の学長さん方、担当教授、また私も含めて東京に出向いてのヒアリングや非常に厳しい富山での現地審査等もありましたけれども、結果として、全国で7件だけという狭き門の1つに選ばれたということは大変よかったなと思っております。  今後、このコンソーシアムを通じまして、何とか医薬品産業1兆円を目指すと、また同時に、富山大学や県立大学もこの医薬品については世界水準というよりは、世界のトップクラスの研究開発を進めるということで、大学の活性化にもなりますし、また医薬品産業を支える専門の人材の育成、これにもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。またよろしくお願いします。 140 山辺委員 委員長、配付をお許しください。 141 五十嵐委員長 資料を配付してください。 142 山辺委員 「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムの中に二つの核がございます。その一つが製剤分野、もう一つが免疫分野ということでございますけれども、製剤分野のリーダーを担っていただいております富山県立大学の浅野教授によります文科省からの研究開発資金、ERATOをいただいての研究成果が平成23年度から平成29年度にわたって成果が蓄積されていると思いますけれども、その中で、共同研究に参加した企業の状況もあわせて御報告をいただきたいと思います。 143 蔵堀総合政策局長 平成23年度に、国立研究開発法人の科学技術振興機構のERATOに採択をされました県立大学生物工学科の浅野教授を研究リーダーといたしますプロジェクト──浅野酵素活性分子プロジェクトと言っておりますけれども、このプロジェクトは、微生物や動植物の酵素を利用した有用物資──医薬品の原料などの有用物質を大量に生産する技術の開発を目指す研究でございます。  平成29年度までの研究期間中に、大きくいいますと3つの成果を上げております。1つが、現在工業利用されています酵素の5倍から300倍の活性を持つ酵素を節足動物のヤスデから世界で初めて発見したこと。2つ目には、遺伝子組み換え生物を使用して、タンパク質の生産性を改善する技術を開発したこと。3つ目には、健康診断に利用可能な高性能のアミノ酸定量用酵素の開発などの成果を上げているところでございます。  現在は、研究成果の1つであります遺伝子組み換え生物を使用したタンパク質の生産性を改善する技術を使いまして、化学工業や医療などに役立つ高性能な産業用酵素を見つけ出す研究を企業と共同で進めているところでございます。  平成30年度では、化学分野の企業と2社で4件の研究、それから医薬品関係では1社で2件の研究、合わせますと、3社で計6件の共同研究を実施いたしております。  県といたしましては、このプロジェクトの研究成果が企業等との共同研究を通じまして革新的な工業技術の実用化や、新しい健康診断手法の開発などに結びついて、ひいては人々の健康や産業社会の発展に寄与するということと、もう一つは、県と県立大学など産学官が連携して進めておりますけれども、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムで取り組む研究開発を初め、多くの分野で生かされて成果に結びつくことを期待いたしております。 144 山辺委員 富山県立大学浅野教授の浅野酵素活性分子プロジェクトというのは、大化けといったら失礼なんですが、私は画期的な事業になると確信をしております。  本県高岡出身で、金沢で基礎教育を受け、その後、アメリカ等においても研究を続けられ、イノベーターとして、またアントレプレナーとして大変世に名をはせた高峰譲吉先生のジアスターゼ、それからアドレナリンの発見に値する、同等の大変な大きな成果であって、ヤンバルヤスデから新発見された酵素を活用した技術が工業利用されますと大変高効率なたんぱく質製造技術になるということで、その起業化が大変期待されていると思っております。  この浅野先生の技術も1つの製剤、DDS分野の一部として、またそのほかに免疫分野もございますけれども、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムを今回形成し、国の支援を5カ年研究資金の提供を受ける中で、ぜひ実用化にめどをつける研究を期待したいと思いますが、知事のお考えを伺います。 145 石井知事 「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムの中での研究開発については、今御紹介あった浅野先生はもちろん、また、高津先生やさまざまな研究者のすぐれた研究実績と、県内医薬品産業の強みであります高い生産技術力、製剤技術力などを生かして、富山が比較優位といいますか、すぐれた研究テーマに力を尽くして、集中して取り組んでおります。御紹介のありました浅野教授は酵素研究の第一人者でいらっしゃるわけですから、先ほども局長から御答弁申し上げましたが、卓越した研究成果をもとに製剤、DDS分野の研究リーダーの1人として製薬企業と共同で有機溶媒を使わず、環境負荷の低い医薬品、原薬の製造法や、バイオ医薬品、これから大きなトレンドになっていくと思いますが、その製造法を確立するための研究開発などに取り組んでいただきたいと思っております。  また、研究開発等を推進するために、研究に必要な機器については国の交付金を活用して、核磁気共鳴装置──バイオ医薬品の構造解析等に使用、また単結晶エックス線構造解析装置──医薬品成分の立体構造の決定に利用、などの最先端の機器も整備いたします。  また、浅野教授ももちろんでありますが、浅野教授や高津先生から御紹介いただいた、例えばドイツのビーレフェルト大学からハラルド・グレーガー教授、フランスの国立応用科学院からトゥールーズ・ピエール・モンサン教授など、そうそうたる世界的にもトップレベルの人材を招聘しますとともに、この4月には、くすり政策課にくすりコンソーシアム推進班を新設して、事務職4名、技術職1名を、こういう厳しい定員管理の時代ですが、思い切って新設いたします。また、知財戦略や事業化を支援するために、事業化専門家や弁護士で構成するアドバイザリーボードを設置して、実用化に向けて研究開発を強力に推進する体制を整備するということにいたしております。薬事総合研究開発センターに研究協力課も設けることにしておるわけでございます。  こういったことで、何とか本県の医薬品産業が1兆円産業へ飛躍するということにつながりますように、着実に成果を上げるよう精いっぱい努力してまいります。 146 山辺委員 先ほど配付いただきました資料にちょっと目通していただきたいと思うんですが、これは、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造計画が採択されました交付金の採択事業一覧でございまして、6県1市の事業がございます。  平成30年度の交付金だけでも大変大きな金額でございますが、5カ年間にわたって支援を受けるものでございます。申請者は全て県知事あるいは市長でございまして、首長のリーダーシップのもとに行われる地方創生事業だと、それも大学を光り輝かせ、そして次の世代の産業をつくり上げて若者の雇用を確保することを明確に目標にしております。  その観点で見ていただきたいわけでありますが、次の質問は、この各県、市の事業を見ていただいて、構成する主体の一覧が書いてございます。市、大学、あるいはその推進機関などが列記されておりますが、富山県以外の他の5県1市の主体の中に、全て銀行あるいは信用組合等々、金融機関が名を連ねております。  富山県においては、残念ながら、本当はいるのかもしれませんが、金融機関の明示がございません。このオープンイノベーション、すなわち企業、あるいは大学等シーズを有するものが他のシーズを組み合わせて、それを早く世に出していくということ、そして新世紀産業機構のようなマネジメント機関がそこに加わって、5年、10年、あるいは15年という期間にわたって円滑な研究開発、実用化の進捗をマネジメントしていくこと、そして何よりも、世に出すための資金リスクを回避するためのファンドが必要だということではないかと思っておりますけれども、富山県に記載のない金融支援の部門をどうするのかについて、商工労働部長に伺います。 147 伍嶋商工労働部長 県による投資ファンドといたしましては、新世紀産業機構に創設いたしました元気とやま中小企業総合支援基金の活用をまずは図りたいと考えております。この基金は、産学官の連携により新技術、新製品開発などの事業展開を行う者、または大学発のベンチャー企業などへの投資などを行っているものでありまして、この基金を活用することとしております。  主な仕組みといたしましては、機構から原資の委託を受けたベンチャーキャピタルによる中小企業への間接投資、間接投資を行うベンチャーキャピタルの投資額の一部に対する機構による債務保証、また間接投資によりベンチャーキャピタルから投資を受けた中小企業への機構からの直接投資を行っておるものでございます。  今後、中小企業の独自技術とIoT、AIなど先端技術の融合によるオープンイノベーションを加速していくためには、県内中小企業のポテンシャルを生かしながら産学官金の連携によりますプラットフォームを立ち上げるとともに、資金面での後押しが必要不可欠であると考えております。  特に、ベンチャー企業の創業促進のためには、より安定した資金供給がなされる環境を確保することが大切でありまして、このため、この基金について一層の活用を促進するために、新年度から、創業者に関する投資要件につきまして、創業後1年未満から5年未満に拡充いたしますとともに、投資対象としましても、新たに事業承継を契機として経営革新等に取り組む者を加えるなど、新事業展開の推進エンジンとなるファンドを目指すこととしております。  今後とも、オープンイノベーションやベンチャー企業創業を促進するため、新たな事業にチャレンジできる環境づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 148 山辺委員 今お答えになったとおり、ぜひとも表に出して、そして特に地元の金融機関のコミットメント、自分たちは支援者であるということを明確にした態度を求めていきたい、ぜひ商工労働部長もよろしくお願いしたいと思います。  続いて、教育長に設問を投げかけております。  1番目は、義務教育学校でございます。  国は、中学校、高等学校の連携教育を進めてまいりましたが、今般、小学校、中学校、義務教育機関の連携協力を進めるとして義務教育学校について典型的な類型もまとめ、そして行う場合の条件等々も明示しているところであります。  本県におきましても、氷見市、高岡市、南砺市において義務教育学校設置の検討会が進められ、あるいは時期を定めて今動いているかと存じます。3市における状況をお聞かせ願いたいと思います。 149 渋谷教育長 義務教育学校は、小中学校段階の教員が育成を目指す子供像を共有いたしまして、9年間を通じた教育課程により系統的な教育を行う新しい種類の学校で、平成28年度に制度化されたものであります。  この義務教育学校には、自由度の高いカリキュラムを設定できるなどのメリットがありますので、県内におきましても、2020年4月には高岡市の国吉小学校と国吉中学校を、そして氷見市の久目小学校、速川小学校、明和小学校と西部中学校を、2021年4月には南砺市の井口小学校と井口中学校を統合いたしまして義務教育学校を設置するとのことであります。  この3市では、検討会議などにおいて設置に向けた検討が進められておりますが、特色ある教育課程の編成や小中学校両方の教員免許を取得する必要があることなどが設置に向けた課題とされております。  県教育委員会では、これまでも大学の教授を講師に招聘いたしまして、小中一貫校に関する研修会を開催するなど支援に努めておりますが、今後、特色ある教育課程の編成などについて御相談があれば助言していくこととしております。 150 山辺委員 まだ検討途上かと思いますけれども、各市が目指す学校像の実現に向けて県教委の御支援をお願いしたい。よろしくお願いいたします。  続いて、最後の質問になりますが、英語教育について数問投げかけておりますので、お聞きをいたします。  私も、大変英語については苦労した人間でございまして、昭和40年から中学校において、その後、高等学校、大学と長期間にわたって英語を学んでまいりましたが、大学を卒業した時点で、残念ながら、聞けない、話せないというような状況でございました。大変苦労した中から皆さん努力してこられたんだと思いますけれども、そう苦労して学ぶことも大事なんですけれども、やはり言葉というのは、まさに我々は小学校に入る段階においては、要するに語学教育を受けなくとも一通りの日本語をしゃべれるようになっているように、やはり自然の生活の中から築き上げなくてはならない要素が大きいわけであります。  そこで、今や世界の共通語になりました英語でございます。もう英語は英語ではなくて、ユニバーサルランゲージの肩書を持っている、科学技術分野においても、国際会議においても、芸術分野等々、ありとあらゆる面で英語が共通語として話され、そして我々日本の中にも、4,000万人、6,000万人の外国人が毎年のように訪日をされ、そして日本人と接触し、交流をされるという中で、英語が最も基本的な言語になりつつあります。  1番目にお聞きしますのは、高校生に対する3つの事業を実施しておられます、とやまの高校グローバル人材育成促進事業、とやまの高校生留学促進事業、とやま型スーパーグローバルハイスクール事業がございますけれども、どれくらいの人数、対象となる高校生がいて、何を行っているのか、まず伺います。 151 渋谷教育長 まず、御質問のとやまの高校グローバル人材育成促進事業は、高校生の英語活用能力を育成するため、英語プレゼンテーションコンテストや英語ディベート大会を実施するものであります。この事業の対象は公立、私立の全ての高校生で、応募のありました生徒全員が参加できるようにしておりまして、今年度の参加者は、それぞれ175名と101名であります。  また、とやまの高校生留学促進事業は、留学を希望する高校生に支援金を支給いたしまして留学を促進するものであります。この事業の対象も公立、私立の全ての高校生で、これまで応募のありました生徒全員を支援しておりまして、来年度も、短期留学85名分の支援に要する費用を当初予算案に計上しております。  とやま型スーパーグローバルハイスクール事業は、県立高校のハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの海外有名大学での研修を支援するものであります。この事業の対象は全ての県立高校で、これまで応募のありました全ての学校を支援しておりまして、来年度も支援要望のある9校の支援に要する費用を当初予算案に計上しております。 152 山辺委員 英語でのディベートに参加したい、留学をしたい、あるいは海外有名校のサマースクールを体験してみたい、大変意欲にあふれる、そして勇気のある高校生を刺激してもらう大変いい事業だと思います。  ただし、そこまで到達していない普通の高校生が置いてきぼりになるのではないかという懸念を持っております。全ての高校生の英語会話能力、あるいはリーディングスキル等を向上させるために、やはり別途の英語対策が必要ではないかと思いますけれども、その観点の取り組みはいかがでしょうか。 153 渋谷教育長 今ほどお答えしました事業につきましては、御本人たちのやる気があれば参加ができる、もしくは支援を受けられるものであります。  それ以外の本県での取り組みについてでありますけれども、平成24年度から高校における英語教育の研究拠点校を指定いたしまして、英語による英語の授業の実践研究、実態に応じた学習到達目標の作成、改善に関する研究を進めておりまして、公開授業や研究協議会、研究報告書などを通じて、全ての県立高校において英語教育が向上するよう努めております。  さらに、来年度は、新たに県立高校2校を指定いたしまして、ICTを活用した英語力を育成するモデル事業を実施することとしておりまして、今後とも、本県の全ての高校において英語教育が向上するようしっかり取り組んでまいります。 154 山辺委員 ありがとうございます。  次に、小学校の英語教育について幾つか質問をいたしたいと思います。  小学校への英語専科教員の配置、あるいは市町村への配置については今予算に計上されております。まだ全ての学校には行き届かないものの、方向としての英語専科教員による小学校英語教育の方向が出てきているかと思います。  私は、英語専科教員がやはり担当すべきだという立場に立っておりますけれども、ことし始められました英語専科教員配置の長期的な目標はどうなっているのか伺いたいと思います。 155 渋谷教育長 本県では、2020年度から小学校5、6年生で英語が教科化されることに備えまして、小学校英語教育モデル事業として英語専科教員の配置によるモデル校での実践研究と校内研修による教員の英語指導力の育成、向上などを進めております。  この英語専科教員の配置校からは、授業の進め方や教材の研究方法を学ぶことができ、自信を持って指導が行える、児童の成長を明確な観点からしっかり評価できる、との声が寄せられておりますので、着実に指導体制が強化されていると考えております。  このため、来年度はモデル事業に加えまして、新たに全市町村に英語専科教員を配置することとしております。 156 山辺委員 随分ステップを踏んで、小学校における英語教育の取り組みも、全国に先駆けて本県において行われてきたと私は理解しております。  その中で、中高等学校に配置されているALTにつきましても、小学校に向けて指導補助員、語学指導の補助員として配置をされてきていると理解をされております。  このJET、ALTの制度につきましては、教育の観点ももちろんあるのでありますけれども、地方自治体の国際化の観点が非常に強く、この制度自体はもう30年余にわたって進められておりますが、ALTを国内で短期間の事前研修をして全国に配置をしているのは自治体国際化協会ということで、都道府県などの全国団体でございます。自治体が、観光やいろんな面で国際化していくに当たって、学校教育が国際化の一助になるのではないかということで、文科省というよりも自治体が中心になってこのALTの配置を進めてきたという点があろうかと思います。  ただし、問題点は非常に多い。まず、教師等の資格がない方であります。英語を母語としておりますが、教師の資格のない方で大変ばらつきが多い。すぐれた教師能力を発揮する方もいれば、非常に残念な方もいる。そして、任用期間についても、ひどい方は半年ぐらいでホームシックで帰ってしまわれる方もあれば、2年以上にわたって指導を継続していただける方もある。あるいは、結婚等を機会に日本に定住される方もある、いろいろであろうかと思っています。  現場では、必ずしもALTについて高い評価があるわけではないということを前提に、今後ともALTに頼った、いわゆる母語としての発音をALTに頼っていくのかというのは大きな課題かと思っております。どのようにお考えでしょうか。 157 渋谷教育長 まず、委員からはALTについて、JETに限ったお話がございましたけれども、文部科学省の把握しておりますALTはJETに限らず、まさにアシスタントランゲージティーチャーとして活躍している先生方をALTと呼んでおりますので、それを前提にして答弁させていただきます。  そのALTはネイティブの発音に直接触れ、また、海外の実生活の様子や文化などを直接聞くことができることなどから、県内の公立学校に広く配置されております。  具体的には、今年度、小学校に126名のALTが配置され、175校の授業に参加しておりますし、また、中学校に79名が配置され、全中学校の授業に参加しております。県立学校には37名を配置いたしまして、全県立高校と希望のありました特別支援学校9校の授業に参加しております。  このALTは、いずれの学校におきましても担任や英語科の教員の授業を補助しておりまして、直接指導をしているわけではありません。各学校では、基本的に教員の指導のもと、子供たちとALTが英語でやり取りをする形態で授業が進められておりまして、子供たちからは、「発音がよくなった」、「外国語に興味を持った」、などの声が寄せられております。  また、県立高校では、放課後などに英語のスピーチコンテストやディベート大会の参加者へのアドバイス、海外研修に行く生徒に事前研修も行っておりまして、グローバル化が進展する中、ALTのニーズはますます高まっております。  今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、各学校がALTを活用いたしまして本県における英語教育が充実するよう取り組んでまいります。 158 山辺委員 我が国の明治以来の学校教育を振り返りますと、その英語につきましては、旧制の高等学校、中学校においてはほとんど全てが米国人、あるいはアイルランド人、アメリカ人、オーストラリア人等々、イングリッシュネイティブの発音を持つ、かつ学校教育で教育学を学び、そして教授法をわかった人たちを教師として直接雇い、そして日本の急速な近代化を支える英語の読解力、話す力を──当時は数少ないまだ学生であったかと思いますが、養ってきたことと思っております。  現在、英語を母語とする諸国、カナダ、アメリカ、それから太平洋地域におきましてはオーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパにおきましてはイギリス等々、そういった国における英語を教育する資格というのにはかなり基本的となるものがございます。国際的な協会もございまして、外国語を母語とする人に対する教授法というものは、国際協会によって1つのメソッドが確立している。そして、イギリスにおいても、アメリカにおいても、カナダにおいても教育学、教師としての学部、学歴がもちろん必要なことは当然として、そして加えて、大学院において英語教授法について単位を取得して、そしてサティフィケートを持っている者ということになっております。  また、ほとんどが連邦制国家でございますので、各州や連邦の構成単位の国ごとに教師免許を取得していることというような資格認定になっております。いわゆる英語を教えるということは、単に英語を話すということとは違うのであるという、言ってみれば非常に言語に対する大変高いモラルがあるんだと思っております。  そういう意味で、英語専科教員についても、留学経験を重視すべきだという国内の英語教師認定の議論もありますし、修士課程の修了を義務化すべきだという議論もある中で、やはり英語専科教員というものを高く位置づける、そして、ぜひ専門的な技能、知識を持って小学生から高校生までの公教育において英語を教えてほしいと、そういう意味では、日本人の英語専科教員だけではなくて英国母語諸国における英語教師としての資格を持つ者を使っていくことが大事なのではないかと、そんなふうに思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。 159 渋谷教育長 英語専科教員につきましては、来年度、先ほど申し上げましたとおり、モデル事業に加え、全市町村に配置することとしております。この配置のためには、英語免許を保有する小学校教員や臨任講師などが29名必要となりますが、現時点では確保できる見込みであります。現在、小学校教員のうち、209名が英語免許を保有している状況ではありますが、さらなる確保が必要だと考えております。  委員からお話のありました外国における語学教師資格につきましては、統一規格に基づいて付与されているわけではないことなどを課題として指摘している大学教授もおられますので、今後、全国状況も調査しながら研究してまいりたいと、このように考えております。 160 山辺委員 ぜひ士資格、志士の士ともう一つの教師の師については、総合主義で国際化をしていくというのが原則であろうかと思います。医師資格であれ、薬剤師資格であれ、弁護士資格であれ、公認会計士資格であれ、外国人を国内資格として認めていくときは、相互に協定、条約等によって認知しなくてはならないということがあって、県単独でできることではありませんけれども、やはり母語を持ち、かつ教師の資格を持つ者をできるだけ活用していくことは日本の国際化のために必要ではないかと思っておりますので、ぜひとも御検討をよろしくお願いしたいと思います。  最後に、知事にお聞きをいたします。  小学校5、6年生、またこの後、3年生等々中学年からの英語教育が始まり、英語の教育期間は大変格段に長くなります。優秀な英語教員を確保していくこと、英語専科教員を確保していくことは極めて重要でございます。  今ほど教育長は、当面のめどは立っているとおっしゃいましたけれども、長期的に確保できるように、本県における小学校教諭の養成機関、富山国際大学、また小、中、高等学校の教師養成機関である富山大学、両者に対して協力関係を構築し、富山県における英語教育の充実に貢献していただきたいと思うわけですが、知事のお考えを伺います。 161 石井知事 英語専科教員につきましては、全国に先駆けまして平成26年度から配置しておりまして、今年度は、全国一となっている配置率をさらに42校から60校に拡充したということでございます。新年度は、新たに全市町村に配置する予定で、そのために必要な英語専科教員の定数増については、先般、私も文部科学省に参りまして、要望どおりこの12名の加配定数増も確保しております。  当面、そういうことなんですけれども、小学校の英語の教科化に伴って、新年度から各大学の小学校教員養成課程において、英語の指導法に関する科目の履修が必要となります。この措置に伴って、2023年度以降は、大学で英語の指導法を学んだ小学校教員が学校現場で指導するということになりますけれども、当分の間、英語専科教員の果たす役割は大きく、その養成が重要だと考えております。  そこで、今年度から新たに富山大学、富山国際大学と連携して、これは全国初の取り組みとなりますが、大学生を英語学習パートナーとして小学校に派遣し、英語が得意な教員志望の大学生の資質の向上を図ると、そして英語専科教員となる人材の養成につなげると、こういうことでございます。  この英語学習パートナーについては、今年度、市町村教育委員会の要望をいただいて、要望どおり18名派遣する。また、新年度も、要望に基づいて23名に拡充して派遣することにしております。  今後も、教育委員会と連携しながら、小学校の英語専科教員となる人材養成にしっかりと取り組んでまいります。 162 山辺委員 ありがとうございました。質問を終わります。 163 五十嵐委員長 山辺委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。
     なお、3月8日の予算特別委員会は午後1時から開会いたしますので、定刻までに御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまでした。                     午後4時15分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...